Looopでんき「再エネメニュー」を専門家が解説
Looopでんきが2021年から開始する「再エネメニュー」のメリット・デメリットを、電力自由化の専門家としてこれまでに多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。電気自動車補助金の支給対象プランです。
目次
Looopでんき再エネメニューとは
まずはこのプランの概要を解説します。
再エネ実質100%・CO2排出量ゼロの電力を供給する
通常、Looopでんきが供給する電力は再エネ比率が7%(2020年度計画値)また1kWhあたり(349g16〜19年度実績)のCO2を排出してつくられた電力が供給されます。
「再エネメニュー」をオプションとして追加することで、再エネ比率「実質100%」また「CO2排出量ゼロ」になるというサービスです。非化石証書という仕組みを利用します。
非化石証書を簡単に説明すると、太陽光などの電力から「再エネである・CO2排出量ゼロ」という価値を取り出してやり取りする仕組みです。非化石証書を付けた電力は実質再エネ・CO2排出量ゼロとして扱われるルールになっています。
理解し難いですが、価値を切り離された後の「もともとの電力」は、再エネで作られた電力であっても再エネとしての価値を失います。CO2を排出する再エネではない電力として扱われる仕組みです。

通常プランに+1.43円/kWhで利用可能
Looopでんきの再エネメニューは、Looopでんきの通常の料金メニューに1kWhあたり1.43円(2021年度)を追加で支払うことで利用することが出来ます。
非化石証書は非化石価値取引市場で取引されていますが、ここでの取引価格が1.3〜4円/kWh程度となっており、1.43円という価格はほぼ「原価」と言えます。他社では通常プランに2円以上上乗せするものも少なくありません。
Looopでんき再エネメニューのメリット
このプランのメリットを解説します。
環境負荷を低減できる
Looopでんきの通常の契約でも、CO2排出量は1kWhあたり349g(16〜20年度実績)と大手電力各社や新電力各社と比較して低排出と言える水準です。しかし月300kWhを使う一般家庭では排出量が年間約1.3トンと決して無視は出来ない排出量です。
再エネメニューを利用することで、この年間1.3トン以上の排出量を「ゼロ」にすることが可能です。一般的に、家庭のCO2排出量の約半分が「電気」によるものだとされているので、再エネメニューを利用することで家庭全体のCO2排出量を一気に半減することが可能です。
利用が簡単
本プランは、Looopでんきの通常のプランを契約した後、ウェブのマイページから申し込みを行うことで後から追加が可能です。
他社の再エネメニューでは、申込時に「再エネメニュー」を選択したり、あるいは専用の料金メニューへの変更が必要となるため、Looopでんきはそれらと比べて導入が簡単と言えます。

動力やオール電化プランでも利用できる
Looopでんきの再エネメニューは、従量電灯相当の「おうちプラン」「ビジネスプラン」に加え、低圧電力相当の「動力プラン」やオール電化プラン「スマートタイム」でも利用が可能です。
昨今、従量電灯相当の再エネメニューは続々と増えていますが、オール電化相当や動力プラン相当の再エネメニューはまだ数が非常に限られています。オール電化や動力プランでもCO2排出量ゼロを選べるのはメリットと言えます。
電動車補助金対象プランとしては「安い」
環境省が2021年から、認定を受けた「再エネ100%」の電力メニューの契約などを条件に電気自動車や燃料電池車、PHVの購入費用を補助する制度を提供しています。Looopでんきの再エネメニューを契約することで、補助金を受けることが可能です。
Looopでんきでは、それに加え電気自動車と充電設備を保有している人に「+EV割」という割引を提供しています。「+EV割」を利用した場合、Looopでんきの再エネメニューは電動車補助金対象プランの中では特に戸建て住宅では最安水準で利用できる料金体系です。マンション住まいの場合はメリットが薄いでしょう(+EV割を利用出来ないため)
以下のページで詳細な料金シミュレーションを行えます。
Looopでんき再エネメニューのデメリット
デメリットを指摘します。
通常プランよりも電気代が割高になる
追加で1.43円/kWhの費用が発生するため、Looopでんきの通常の契約では電気代が割高になります。月300kWhを使った場合、429円の費用が発生します。費用負担が発生する点はデメリットと言えるでしょう。
Looopでんきのもともとの料金メニューは、大手電力会社の標準メニューと比較して割安に設定されています。概ね、戸建て住宅では「再エネメニュー」を利用しても大手電力より安い状態を維持できますが、マンションで特に世帯人数が少ない場合(主に2人以下)は、大手電力標準メニューよりも電気代が高くなってしまうリスクがあります。
