スマートタイムONEのメリット・デメリット
Looopでんきの新しい料金プラン「スマートタイムONE」のメリット・デメリット、注意すべきポイントをまとめます。電気代が高騰リスクがある料金プランなので注意が必要です。
- この記事の著者:石井元晴
2014年から当サイトを運営。産経新聞、週刊女性自身、週刊ポスト、女性セブンなど数々のメディアに電力自由化の専門家として取材を受けてきました。400社以上の料金プランに目を通しています。
目次
LooopでんきスマートタイムONEとは
このプランの特徴をまとめます。
市場連動型料金プラン
スマートタイムONEは市場連動型の料金プランです。
通常の電気料金プランでは予め決まった単価の基本料金と電力量料金と、毎月変動する燃料費調整によって構成されます。一方、市場連動型プランでは予め決まった単価が無く、卸電力取引所での電力取引価格に応じて電気料金の単価が変動します。
予め決まった料金単価というものが無い料金プランです。また、大手電力各社(東京電力や関西電力など)の標準メニューで採用されている、燃料価格による調整とは異なる値動きをする点にも注意が必要です。一般的な料金プランとは料金比較が出来ないため、当サイトでは料金シミュレーションを行いません(リンゴとミカンの値段を比較するような話になってしまいます)
スマートタイムONEのメリット
スマートタイムONEのメリットを整理します。
一部契約者は割安に使える可能性
スマートタイムONEは、一部の契約者は大手電力従量電灯プランよりも電気代が安く抑えられる可能性がある料金プランです。安くなる可能性がある条件は以下のとおり。
- 契約容量が大きく使用量が非常に少ない(別荘など)
- 蓄電池と太陽光発電を設置している
- 西日本(中部・北陸以西)のファミリー世帯
スマートタイムONEは基本料金0円なので、基本料金が高い(契約容量が大きい)契約でメリットが出やすいです。使用頻度が少ない別荘のように、電気料金に占める基本料金の比重が大きくなりがちな使用ケースでは大手電力従量電灯より安くなる可能性があります。
また、西日本エリア(中部・北陸電力エリア以西)では電力取引価格が他の地域と比べて低く、そして安定して推移しています。LooopでんきスマートタイムONEは電力取引価格が低位安定していると電気代が安くなるので、西日本エリアに向いていると言えます(逆を言えば東日本エリアには適さない)
スマートタイムONEのデメリット・注意点
デメリットを指摘します。
電力取引価格が高騰すると電気代が高額に
2021年秋から2023年上半期にかけて、電力取引価格が高騰していました。
単位:円/kWh | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年 | 23.95円 | 23.36円 | 30.76円 | 21.65円 | 19.50円 | 25.27円 | 30.25円 | 31.35円 |
2021年 | 66.53円 | 8.29円 | 6.70円 | 7.05円 | 6.98円 | 7.02円 | 7.98円 | 9.06円 |
2020年 | 8.17円 | 7.59円 | 7.48円 | 6.85円 | 5.75円 | 5.57円 | 4.83円 | 7.53円 |
上表は東京電力エリアの電力取引価格の月間平均値です(税抜き) 通常は8円前後という取引価格ですが、2022年は3倍前後の価格で高止まりしていることが分かります。なお、2021年1月にも約1ヶ月にわたり電力取引価格の暴騰が起こりました(LNG不足による電力不足のため)
例えば2022年5月の19.50円で計算すると、スマートタイムONEの料金単価は概算で38.15円になります(固定従量料金単価を含む) 30A契約・月300kWhで試算すると電気料金は以下のようなイメージになります。
Looopでんき スマートタイムONE |
東京電力EP 従量料金B | |
---|---|---|
2022年5月分 | 11445円 | 8832円 |
2022年8月分 | 15699円 | 9540円 |
2021年1月分 ※参考 |
28116円 | 6555円 |
ただし、上記の試算は電力取引価格の「月間平均」をもとに試算していますが、実際のスマートタイムONEでは料金単価が30分単位で変動します。電力取引価格は電力の需要が多い時間帯に高くなる傾向があるため、「ふつうの」暮らしをして「ふつうに」電気を使用している住宅では加重平均が単純平均よりも高くなる可能性があり、その場合は上記の試算より電気代が更に割高になります。
2023年下半期は一転して電力取引価格が下落、LooopでんきスマートタイムONEは条件によっては大手電力各社の標準メニューよりも割安に推移していますが、電気代高騰リスクがある点には注意が必要です。
事前に料金の想定ができない→急騰リスクも
電力取引価格は災害による発電所の停止、急な寒波など様々な要因で高騰することがあります。例えば2021年1月は新型コロナの感染拡大により、LNG(液化天然ガス)の輸入が滞り燃料不足が起きたことで1ヶ月にわたり電力需給がひっ迫し、取引価格が高騰しました。
異常な電力取引価格の高騰が発生した場合、LooopでんきスマートタイムONEのような市場連動型プランの電気代が高騰します。2021年1月ケースでは市場連動型プランが軒並み、大手電力従量電灯の2倍を超える電気料金となり大きな混乱が発生しました。
市場連動型プランはLooopでんきに限らずリスクが大きいため、当サイトでは推奨していません。市場連動型プランは時期によっては電気代が安くなる場合もありますが、くれぐれも自己責任で利用してください。契約したらそのまま何も気にせず使える料金プランではありません。
市場連動型プランを契約するのであれば、30分単位ではなく月単位で変動する料金プランの方がリスクが小さいです(高騰が発生したタイミングで他社への切り替えが不可能ではない) しろくま電力では電力取引価格高騰に備えて「積み立て」を行う仕組みがあるので、市場連動型を利用するのであればこのような料金プランを選ぶべきです。