エルピオでんき「市場連動型プラン」のメリット・デメリット

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エルピオでんき「市場連動型プラン」を解説します


 エルピオでんきが2020年10月から提供を開始する「市場連動型プラン」 従来の電気料金プランとは全く異なる仕組みの料金プランであり、メリット・デメリット両面をよく検討する必要があります。他社の市場連動型プランとも比較しながら詳しく解説します。



市場連動型プランとは?


 まずは特徴的な「市場連動型」の特色を分かりやすく解説します。


料金単価が30分ごとに変動するプラン


 市場連動型プランは、電気の料金単価が30分毎に絶えず変動をし続ける全く新しい電気料金プランです。エルピオが参入する以前から、既に数社が導入していました。


 一般的な電気料金プランでは、契約時に予め示された料金単価に基づいて電気代が計算されますが、市場連動型プランは「卸電力取引所」という市場での取引価格に応じて電気料金の単価が決まります。


30分単位で変動する電気の取引価格

30分単位で変動する電気の取引価格

 卸電力取引所の取引価格は例えば14時00分〜14時30分までの時間帯が1kWhあたり5.0円といった形で決まります。この取引価格は前日までにネットで確認することが出来ます。


 なお、こうした市場連動型プランは事前に料金単価の予測を行うことが「不可能」であるため、当サイトの料金シミュレーションには一切掲載していません。他の電気料金比較サイトなどの試算もあてにしないほうが良いです(株価や為替相場の予測と同じようなものです)


安い時に使えば電気代が安くなる


 市場連動型プランの最大のメリットは、料金単価が安い時に電気を使えば電気代が安くなる点にあります。


 前日までに示されるその日の取引価格の推移を見ながら、家電製品の使用や生活パターンを合わせることで、電気代を節約することが可能です。


 我が家でも他社の市場連動型プランを契約していますが、取引価格を毎日確認しながらドラム式洗濯機と食洗機の使用時間帯を調節しています。


食洗機

タイマー設定できる家電製品を活用すると便利

高い時に使うと高額になるリスクも


 一方でリスクもあります。


 卸電力取引所の取引価格は「高騰」することがあります。平均的に1kWhあたり10円以下という価格で取引が行われますが、電力需要が伸びる夏場や冬場には毎日数時間にわたり取引価格が40円を超えることも珍しくありません。


 契約者が市場連動型プランで負担する電気料金(従量料金)は



 このように計算されますが、例えば取引価格が40円のタイミングで電気を使うと、1kWhあたりの単価は50円近くになります。大手電力会社の標準的な料金単価は27円程度なので、2倍近いです。


 取引価格が40円で済めばよいですが、時には瞬間的に100円を超えることもあります。例えば大規模な発電所のトラブルで電力不足が起きると、長期にわたって取引価格が高騰し電気代が高額になる恐れもあります。


結局、安いのか高いのか。


 事前の想定が出来ない料金プランと紹介しましたが、では実際のところ料金は安いのか高いのか。


 同様の市場連動型プラン(自然電力のSE30)を2020年7月中旬から利用している我が家(60A契約・月388kWh)では、市場連動型でないプランの中で同条件で最安値(当サイトで掲載中の東電エリア439プラン中)になるピタでんの「使った分だけ」プランよりも、1ヶ月で約1000円安くなりました。


 エルピオの市場連動型プランは自然電力SE30よりも0.9円/kWh安いので、エルピオの市場連動型プランは同条件・同期間で最安プランよりも更に1400円安いことになります。


 ただし、昨今は新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が停滞し、電力需要が減少しています。そのため例えば2020年7月の卸電力取引所の平均取引価格は前年同月と比べて約3.6円も安く推移しました。2019年7月の価格で全く同じように使うと「最安プラン」とほぼ変わらないということになります。


卸電力取引所の取引価格の推移(2019年7月と2020年7月の比較)

卸電力取引所の取引価格の推移(東京電力エリア)

 コロナ禍で取引価格が下落している今、市場連動型プランを契約するメリットはあると言えますが、取引価格がまた以前の水準に戻った場合は「最安プラン」と比べて必ずしもメリットが大きいとは言い難いと言えます。


エルピオでんき市場連動プランの評価


 エルピオでんきの市場連動型プランを、他社のプランと比較しながら評価します。


他社と比較して最安値水準の料金単価


 エルピオでんきの市場連動型プランは、他社の同様の市場連動型プランと比較しても「最安値水準」です。


 市場連動型プランは市場での取引価格に加え、「託送料金」や「送電ロス」と更に会社によって異なる「取引手数料」を加算した金額で料金が計算されます。したがって、取引手数料が安いプランが市場連動型プランの中で安くなります。


社名・プラン名 取引手数料
エルピオでんき 3.5円/kWh
自然電力
SEデビュー
4.0円/kWh
ダイレクトパワー
ダイレクトS
4.0円/kWh
自然電力
SE30
4.4円/kWh
自然電力
SE100
5.4円/kWh

 エルピオでんきの市場連動型プランは、自然電力やダイレクトパワーと比較して1kWhあたり0.5円安いです。月300kWhの電力を使用する平均的な家庭では、月150円/年1800円安くなります(なお、自然電力はCO2排出量ゼロの電力を供給している)


 市場連動型プランの中でも安い、というのがエルピオでんきの市場連動型プランのメリットと言えます。


キャッシュバックキャンペーンも


 更に、エルピオでんきは入会特典としてキャッシュバックキャンペーンを実施しています(実施内容は公式サイトで確認してください)


 エルピオのキャッシュバックは業界内でも非常にアグレッシブなので、キャッシュバックも加味すると他社の市場連動型プランと比較して群を抜いてお得になるでしょう。


解約違約金無し


 エルピオでんきは解約違約金などが発生しません。


 例えば大規模な発電所のトラブルなどが発生して市場価格の高騰が長期間にわたって継続することが見込まれる場合、直ちに市場連動型プランでないプランに変更する際も足かせとならない点はメリットと言えます。


環境・エコ


 エルピオでんきのCO2排出量は1kWhあたり433g(2020年度実績)と、新電力会社としては「平均的」な値です。過去には「排出量が多い」と言わざるを得ない成績を残した年もあります。


 電源構成は火力40%、常時バックアップ電源(東電などからの調達)40%、その他が20%と公表しています。


2021年1月現在の価格高騰について(1/8追記)


 当サイトではこれまで市場連動型プランについて注意喚起を続けてきましたが、2020年の年末から卸電力取引所の取引価格が異常な高騰を続けています。


年度 平均価格
2020年度 38.85円/kWh
2019年度 7.36円/kWh
2018年度 9.95円/kWh
2017年度 9.78円/kWh
2016年度 8.49円/kWh

 これは各年度の年末年始、12月26日〜1月6日の取引価格の平均値(東京エリア)ですが、2020年度が突出して高いことが分かります。1月に入ってから更に高騰を続けており、1月4〜9日で平均を取ると79.6円となります。


 現在の取引価格の水準で電気を使用すると、電気代が大手電力の数倍と高額になります。年末年始の平均値で計算しても、東電が6800円のところエルピオでんきの市場連動プランは15000円前後と2倍近くになります。


 エルピオは特例として、市場連動型プランから通常のプラン(取引価格の影響を受けない)への切り替えを受け付けると公表しています。詳細はエルピオ公式サイトを確認してください。速やかに手続きを取ることをおすすめします。切り替えが一日遅れるごとに損失が数千円ずつ膨らみます。


 通常プランの特徴については以下の記事を参照してください。大手電力の料金プランよりも安いです。


 なお、当サイトでは今回のような価格高騰・変動リスクを考え、市場連動型プランを料金シミュレーションに掲載していません。


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