みい電の概要
運営会社 | アイチューザー | 電力調達 | 都度変わる |
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供給エリア | 東京電力管内 | 契約条件 | 特に無し |
目次
みい電の特徴
- 東京都など首都圏9都県市が参加
- 再エネ比率が高い電気を販売
「みい電」は東京都を始めとする首都圏の9都県市が共同で取り組むキャンペーンです。オランダに本社を置くアイチューザー株式会社が事務局を務めています。
電気を「共同購入」する仕組みで少々分かりづらいため、電力自由化の専門家としてこれまでに多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。
料金プランとサービスの解説
乗り換えでいくらお得になる?
まずは気になる料金プランですが、第3回キャンペーンの料金単価は2021年1月中旬に公表されるとのことで、現時点ではどの程度のものか評価することは出来ません。発表され次第、当サイトの電気料金シミュレーションにも掲載するので、気になる方はこの記事をブックマークに入れておいてください。
公式サイトによれば、再エネ比率が30%と100%の2つのプランを提供するようです。第2回実施時の料金単価では、東京電力の標準プランと比較して「30%プラン」では平均7%、「100%プラン」でも4%安くなったと記載されています。
電気代が割高になるケースもある
公式サイトにも記載されていますが、「みい電」で電力会社を切り替えることで、東京電力よりも電気代がむしろ高くなるケースもあります。
高くなってしまいやすいケースは、主に2つ。
1つ目は、一人暮らしのように電気の使用量が少ないケースです。
「みい電」の公式サイトに掲載されている以下のグラフでは、使用量が少ない(120kWh以下)の部分が東電よりも高くなるイメージが記載されており、一人暮らしの場合は電気代が高くなる恐れがあります。
2つ目のケースは、オール電化住宅です。
オール電化住宅では、深夜の料金単価が大幅に安い「オール電化プラン」を契約するのが一般的です。しかし、「みい電」はオール電化プランを提供しないため、オール電化住宅が「みい電」と契約することで電気代が大幅に割高となる恐れがあります。
解約時の違約金は?
電気の供給者が決定された際に説明されます。
支払い方法は?
電気の供給者が決定された際に説明されます。
みい電の評価・詳細
そもそもどのような仕組みなのか
このキャンペーンは、東京都が公募して選定したアイチューザー社が取りまとめ役となり、再エネ比率が高い電力を購入したい人を集め、そのグループに対してサービス(電力の供給)を提供するものです。
私は以前、東京都環境局から「都民に再エネの電気を使ってもらうための意見交換がしたい」と言われ、都庁の第二庁舎にある東京都環境局に出向き、説明を行ったことがありますが、東京都として都民に再エネの電気を使ってもらいたいという政策目標があるようで、その達成手段の一つとして、このような形を取ったのだと推察します。
再エネ電気を買いたい人を集め、キャンペーン事務局(アイチューザー)が実際に電気を供給する事業者をオークションで選定し、選定された事業者と購入希望者が契約を結ぶという流れです。アイチューザーが電気を供給するわけではありません。
なぜ電気代が「安くなる」のか
「みい電」公式サイト上では、共同購入により電力会社が「広告宣伝費を掛けずに、多くのお客様と契約できる」(公式サイトQ&Aより引用)との説明があります。
例えば電力会社が電気料金比較サイトで集客する際、一般的に1件の契約あたり5千円以上の費用が発生すると耳にしたことがありますし、また訪問販売では人件費などでそれ以上のコストが掛かると言われています。そうした費用をカット出来るのが、この「みい電」の強みと言えるでしょう。
また、日本の電気料金プランの特徴として、使用量が増えると料金単価が高くなる料金体系が挙げられます。こうした料金体系は、使用量が増えると料金単価が高まり、電力会社にとって利幅が大きくなります。
電力自由化で参入した新電力の多くが、使用量が大きい部分の料金単価を大手電力と比べて割り引いて設定することで、料金削減メリットのある料金プランを提供しています。
それに対し使用量が少ない場合は、大手電力より割高となる料金設定をしている新電力も少なくありません。「みい電」に関しても、記事前半で指摘したように使用量が少ないケースでは割高となるリスクがあります。
環境面・エコ
実際に電気を供給する電力会社が決まっていないため、CO2排出量などの評価は出来ませんが、再エネ100%プランであればCO2排出量ゼロとなり、環境負荷が小さなものとなるでしょう。
メリットを整理すると
メリットを整理すると、以下のようになります。
- 電気代が安くなる場合もある
- 再エネ比率が高く、環境負荷が小さな電気を使える
デメリットをまとめると
デメリットもあります。
- 電気代が高くなる場合もある(オール電化、一人暮らしなど)
- 他の再エネ系新電力の方が安い場合も
- 料金プランは最低1年間しか提供されない
みい電公式サイトのQ&Aによれば、「今回のキャンペーンでは同じ料金メニューを最低1年間ご提供することをお約束しておりますが、その後は電気代が変動する可能性がございます。」とあり、1年経過後は料金単価が変わるリスクが想定される点には注意が必要です。
また、最近は「CO2排出量ゼロ」を安い電気料金と両立している新電力の料金メニューも続々と登場しており、そうしたプランと比較すると「みい電」の方が電気代が高くなる可能性もあります。3人世帯の平均使用量で、東電より13%安くなる「CO2排出ゼロ」の新電力もあります。
CO2排出量ゼロのプランは以下の記事で一覧で紹介しているので、こちらもあわせてご覧ください。