みんな電力の口コミ・評判

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再エネ系新電力として注目されている「みんな電力」


 再エネ系新電力として注目を集める「みんな電力」 大手企業と続々と提携して独自色の強い取り組みを打ち出している異色の新電力です。同社の料金プランやサービスを、注意点を交えながら解説します。



みんな電力とはどんな会社なのか


 大石英司氏が凸版印刷などでの勤務を経て2011年に設立した新電力会社です。TBSやSBIホールディス、丸井や電通などから出資を受けています。


 「顔の見える電力」という独自色の強いサービスや、大企業と提携した取り組みを次々と打ち出しており、小規模ながらも注目を集める新電力会社です。


料金プランとサービスの解説


 料金プランとサービス内容を解説します。


料金プランの解説


 基本料金に加え、1段階制の従量料金が発生する料金体系です(スタンダードプラン、プレミアム100プラン)


 特徴的なのは「みんな割(電源コスト調整単価)」という項目で、電力の調達コスト(卸電力取引所の取引価格など)に応じて毎月料金を変動させる仕組みを取り入れている点です。


みんな電力公式サイトの「みんな割」

みんな電力公式サイト掲載の「みんな割」適用値

 他の新電力では、各地域の大手電力会社と同様に変動する「燃料費調整制度」を導入しているところがほとんどですが、みんな電力では独自に変動する料金単価で毎月料金を調整しています。


 「みんな割」は毎月大きく金額が異なり事前の想定が出来ないため、他社と料金の比較が出来ません。例えば東京電力エリアの場合、2020年7月適用分の-6.0円/kWhから2019年11月の-1.75円と、1年の間に4.25円と大きく変動しています。月300kWhを使う一般家庭になおすと、みんな割だけで月1275円の差(2020/7と2019/11)になる計算です。
 大手電力会社(と、それに準じている多くの新電力)の燃料費調整額と比較しても変動幅が大きいと言えます。


 上記の理由から、当サイトの料金シミュレーションには「みんな電力」の料金プランを掲載していません。ご自分で料金シミュレーションをする際も注意してください。他社との料金比較が「成立しない」料金プランと言えますし、事前の想定よりも(相対的に)料金が高くなるリスクもあります。


安いのか、高いのか。


 そこで気になるのが、みんな電力の電気代は「安いのか、高いのか」という問題です。


 一つ上でも紹介したように、「みんな割」という独自の(大きく動く)変数があるため決まった答えを出すのは難しいところですが、2020年直近の傾向をふまえて答えを出すと以下のとおりです(スタンダードプラン、関東エリアをもとに評価)


 まず、電気をあまり使わない一人暮らしや共働きの2人世帯については、大手電力会社の標準的な料金プランである「従量電灯」の方が安い、つまり「みんな電力」は割高となるリスクがあります。特に一人暮らしの場合は、大幅に割高となる可能性が大きいです。


 一方、3人以上の世帯(当サイトでは40A契約、月391kWhと想定)で一定程度の使用量がある場合は、大手電力会社と比較して料金が安くなる可能性が大きいです。料金削減メリットがあるプランであると言えます。
 ファミリー世帯でも、太陽光発電やエネファームなど発電設備を設置していて電気の購入量が少ない場合は要注意です。


 プレミアム100プランについても、やはり3人以上の世帯では割安となる可能性が大きく、単身や共働き世帯では割高となりやすいです。



みんな電力の評価


顧客対応は?


 2020年6月にメールで問い合わせたところ、昼休み時間帯にこちらから送信した質問に対して、当日夕方には的確な内容の返事がありました。また、2016年5月にメールで問い合わせた際にも、返信が2時間後に届きました。


 新電力のメール対応としては速さは優秀、質も問題無しと評価します。メール対応の速さに関しては特筆すべきものがあります。


環境・エコ 注意すべき点も


 「再エネ系新電力」としてエコなイメージがある同社ですが、注意すべき点があります。


電源構成の詳細


 まずは電源構成を見てみましょう(スタンダードは公式サイト掲載情報、プレミアム100は2020年6月にメールで回答を得た内容)


スタンダード プレミアム100
FIT電気 58.4% 20.6%
再エネ 18.8% 79.4%
その他 22.8%
備考 非化石証書等を活用

FIT電気は本物の「再エネ」ではない


 FIT電気とは、固定価格買取制度を利用して買い取られた再生可能エネルギーの電力ですが、この電力は再エネとして扱わないことがルールとして定められています。


 経産省の専門家委員会でも「FIT電気はグリーンじゃなくてグレー」との発言も出ており、FIT電気は再エネではなく火力発電などと同じようなものだと認識すべきです。詳しくは以下の記事で詳しく解説しています(理解するのはなかなか難しい、複雑な内容です・・)


 ただし、FIT電気でも非化石証書などを付けることで再生可能エネルギーと同じように「CO2排出量ゼロ」と扱うことが認められています(プレミアム100プランが該当)


プレミアム100プランは環境負荷が小さい


 その点をふまえて言うならば、みんな電力のプレミアム100プランはFIT電気分に非化石証書が組み合わされているため、ちゃんとした再エネ100%プランと言えます。CO2排出量も「ゼロ」とされており、環境負荷が究極的に少ないプランと言えます。


 料金はスタンダードプランと比べてやや高いですが、直近の傾向ではファミリー世帯では大手電力より割安となる可能性が大きく、料金面でのメリットもある料金体系です。


 本物の「再エネ比率」も79.4%と、高く評価できる内容です。メールで回答を得た詳細な電源構成は以下のとおり(2020年6月回答)


再エネ
風力 73.0%
水力 6.2%
太陽光 0.2%
再エネ小計 79.4%

風力発電

風力発電比率が高い「プレミアム100」

スタンダードプランはそれほどエコではない


 正真正銘「エコ」なプレミアム100プランに対し、スタンダードプランは「エコ」とは言い難いです。


 「本物の」再エネは18.8%と、再エネ比率が特段大きなプランとは言えません。また、CO2排出量についても1kWhあたり463g(CO2排出係数:公式サイト掲載値)とされており、排出量は新電力としては「やや少ない」か平均的と言えるものです。


 例えば新電力としてシェアが大きい東京ガスは398g、大阪ガスは403g(いずれも2018年度実績)なので、みんな電力のスタンダードプランはそれらよりもCO2排出量が多く、環境負荷が大きいと言えます。


 東電(455g)や中部電力(452g)と比べても同等の数値であり、みんな電力に切り替えてもCO2削減効果が無いことが分かります。


社名 CO2排出量 kWhあたり
みんな電力
プレミアム100
0g
関西電力 334g
東京ガス 398g
大阪ガス 403g
東京電力
エナジーパートナー
455g
中部電力
ミライズ
452g
みんな電力
スタンダード
463g

 「エコ」イメージが先行している「みんな電力」ですが、スタンダードプランは実際にはそれほどエコとは言えませんし、言うべきではありません



2021年1月追記 今後の価格高騰について


歴史的に暴騰する電力取引価格


 2020年末から、みんな電力を含めを多くの新電力が電気の調達を頼っている「卸電力取引所」の取引価格が暴騰しています。


年度 平均価格
2020年度 38.85円/kWh
2019年度 7.36円/kWh
2018年度 9.95円/kWh
2017年度 9.78円/kWh
2016年度 8.49円/kWh

 上表は12月26日〜1月6日期間の取引価格の平均値です。2020年度が突出して高いことが分かります。更に、2021年1月4〜9日で平均を取ると79.6円となり更に事態は深刻です。価格高騰は春先まで続くことが懸念されています。


 価格高騰の原因などは以下の記事に詳しくまとめているのでこちらを参照してください。


みんな電力への影響は


 大手電力会社や、大手電力に準じた料金プランを導入している大多数の新電力の料金プランには取引価格の影響はありません。料金に反映できないため、経営に深刻な影響を受ける新電力が多いという状況です。


 一方、みんな電力については取引価格が料金に反映される「みんなワリ」という独自の仕組みを導入しており、今回の取引価格高騰が利用者の料金に反映されます。、


 みんな電力公式サイト上でも、この取引価格高騰の影響が2月以降の電気料金に反映されることが公表されています。


みんな電力は、電源コストを6カ月平均で調整する「電源コスト調整単価(みんなワリ)」という仕組みを採用しております。このため、電気料金が急激に高騰するようなことはございませんが、卸市場価格に連動するFIT電気の仕入れ価格の上昇分が2月以降の電気料金に反映される見込みです。

引用元:卸電力市場の価格高騰に伴う2月以降の電気料金への影響と対応につきまして(みんな電力)

 「急激に高騰するようなことはない」ものの、この年末年始に既に発生し、終息が見えない価格高騰の影響を受けて少なくとも2021年夏頃まで「みんなワリ」が割高に推移する可能性が大きいと言えます。


大手電力よりも電気代が高くなる恐れも


 記事前半では、みんな電力のプランは一人暮らしでなければ大手電力よりも安くなるだろう、と解説しましたが、みんなワリの上昇を受けてその説明を撤回せねばなりません。


反映月 東電エリア
みんなワリ
みんなワリ
算定期間
2021年2月 -4.48円/kWh 2020年7月〜12月
2021年1月 -6.68円/kWh 2020年6月〜11月
2020年12月 -6.51円/kWh 2020年5月〜10月

 21年2月分の条件で試算しても、既にみんな電力のスタンダード、プレミアム100ともに多くの条件下で東電よりも「割高」となる水準です。


 2020年12月の価格高騰の影響が反映された、2021年2月の「みんなワリ」は前月より2.2円上昇しています。価格高騰は上でも紹介したように12月よりも2021年1月の方が更に深刻であるため、2021年3月分以降のみんなワリは更に上昇する可能性があります。


期間(1週間) 東京エリアプライス
平均価格
11月29日〜12月5日 6.09円/kWh
12月6日〜12月12日 6.21円/kWh
12月13日〜12月19日 18.29円/kWh
12月20日〜12月26日 16.01円/kWh
12月27日〜1月2日 28.32円/kWh
1月3日〜1月10日 76.65円/kWh

 週平均で見ると、12月中旬・下旬の「高騰」がまだ穏やかに見えるという状況です。


 仮にこの高騰が2月で収まったとしても、みんなワリへの悪影響は9月分まで残ります。それまでの期間、みんな電力の電気料金が大手電力よりも「割高」となる可能性は否定できません。ただし、一部ネット記事にあるような「電気代が10倍に」なる可能性は低いです。


 なお、当サイトではこのような価格変動リスクを考慮し、みんな電力の料金プランを料金シミュレーションに掲載していません。


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