ナンワエナジーが供給終了へ。契約者の対処方法まとめ

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事業撤退するナンワエナジー


 ナンワエナジーが2022年6月30日をもって「供給終了」となり撤退することが発表されました。契約者が取るべき対処方法や、乗り換え先としておすすめの電力会社を紹介します。



ナンワエナジーとは


 鹿児島で建設資材の販売などを手掛けている南和が設立した新電力会社です。鹿児島初の新電力として2013年から新電力事業を営んでいました。


 鹿児島だけでなく九州一円で電気の販売を行っており、販売電力量は全国57位(2021年11月)と地方発祥の新電力としては「健闘」していました。家庭向けを中心とした低圧電力の販売で一般家庭39000軒分程度の契約を抱えていたものとみられます。


ナンワエナジーが撤退する理由・背景


 ナンワエナジーが撤退する背景にある事情を解説します。


電力取引価格の大幅な高騰が背景に


 日本では2021年秋頃から電力の取引価格が高騰しています。以下は卸電力取引所の電力取引価格の月平均価格です(東京電力エリア向けの取引価格 単位:円/kWh)


11月 12月 1月 2月 3月
19年度 9.03円 8.71円 8.17円 7.59円 7.48円
20年度 5.35円 14.35円 66.53円 8.29円 6.70円
21年度 17.59円 18.04円 23.95円 23.36円 30.76円

 通常、卸電力取引所の取引価格は平均で8〜9円程度と言われていますが、2021年秋から平均的な水準の2倍以上の価格で推移しています。


 取引価格高騰の原因はLNG(液化天然ガス)や石炭価格の大幅な高騰と、電力需給の逼迫が要因として挙げられます。2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻により一層取引価格が高くなったのも事実ですが、侵攻前から既に高騰が起きていました。


 2023年1・2月にも深刻な電力不足が想定されており、再び電力取引価格の大幅な高騰が起こることが懸念されています。


新電力の事業撤退が相次いでいる


 現在の取引価格の水準では、ほとんどの新電力が赤字になる水準です。また、2022年冬(2023年1・2月)にも電力需給の深刻な逼迫が起きることが予測されており、「次の冬」にも大幅な電力取引価格高騰が起こる見通しです。


 それを受けてナンワエナジーと同じように新電力事業から撤退する会社が相次いでいます。



 上記の新電力が2022年以降、事業の停止を発表しています。


 ナンワエナジーは家庭向けを含む低圧電力の販売からの撤退に先立って、法人向けの高圧電力・特別高圧電力の販売からの撤退を4月に発表していました。高圧電力は家庭向けよりも利幅が小さく、電力取引価格高騰の影響をより早く受けやすいです。


契約者が取るべき対処方法は


 ナンワエナジー契約者は何をすべきか。対処方法を解説します。


出来るだけ早く他社への切り替えを


 ナンワエナジーは電気の供給契約を解除することを表明しています。ナンワエナジーを契約している人は、出来るだけ早くほかの電力会社に「乗り換える」手続きを行ってください。


 他社に対し申込みを行うと、ナンワエナジーに解約の手続きが自動で飛ぶので、ナンワエナジーに対し電気の解約手続きを行う必要はありません。他社に切り替える際に「供給地点特定番号」と呼ばれる22桁の数字と、ナンワエナジーの「お客様番号」が必要となるので確認してください。


 ナンワエナジーでは他社への切り替えの期限を6月10日、ナンワエナジーからの供給終了を6月30日と発表しています。


手続きすれば停電の心配は無い


 期限までに他社に切り替える手続きをすれば、停電することなく電気の使用を継続出来ます。私自身、契約していた熊本電力が2022年3月をもって供給を停止するというトラブルに巻き込まれましたが、停電すること無く電気の使用を継続することが出来ています。安心してください。


 何もせずに放置しておくと停電しますが、しっかりと速やかに手続きをすれば停電する心配は無いので安心してください。


確実に確認しておくべき点(必読)


 この記事の他の内容は全て読み飛ばして構わないので、これだけは覚えた上でこの記事を閉じてください。


 2022年現在、ほとんどの新電力が厳しい経営を強いられており、様々な形で「値上げ」をするところが増えつつあります。


 利用者にしっかりと告知した上で料金単価を引き上げるのであればまだ「仕方ない」と言えますが、中には利用者に分かりづらい形で実質的にかなり大幅な値上げをするところも出てきています。


 「卸電力取引所」の「取引価格」を電気料金に反映する仕組みを取り入れている、あるいは今後取り入れる新電力にはくれぐれも注意してください。卸電力取引所の取引価格を反映する料金体系だと、電気代が大手電力の2倍以上になる恐れがあります。


高騰した2020年12月25日〜21年1月7日の取引価格(東京エリア)

 まだこのような料金プランは少数ですが、少しずつ増えてきているので注意してください。当サイトではこのような料金体系のプランについて「料金高騰リスクあり」「料金変動リスクがある」と表記しています。契約後の約款の変更にも注意が必要です。


切り替え先としておすすめの電力会社は


 


新電力の選び方の注意点


 契約していた電力会社が供給を打ち切る、というのは利用者にとっては煩わしいですし大きな不安の種です。私もつい最近、利用していた熊本電力の契約が終了し多大なストレスを感じました(「供給停止」の数日前に通知を受けた)


 昨今の電力取引価格高騰により、事業停止あるいは新規申込みを停止する新電力が相次いでいます。例えばシン・エナジーLooopでんき親指でんきリミックスでんきなどが2022年4月上旬時点で新規申込み一時停止に。エルピオでんきNatureでんきは事業停止、楽天でんきは大幅な値上げに追い込まれています。


 今後もナンワエナジーと同じように事業を継続できなくなる会社が出てくる可能性は低くありません。再びこのような事態に巻き込まれたくない場合は、自社グループで大規模な火力発電所を保有している都市ガス会社や、経営体力がある大手携帯電話キャリアの電力がおすすめです。



期限まで時間が無い場合は大手電力


 新電力への切り替えは時間が掛かる場合があります。タイムリミットまで1ヶ月を切ってしまった場合は、九州電力の「従量電灯」に切り替えることをおすすめします。


 ネットでは短い期限での申込みを受付けていない場合もあるので、その場合は電話で手続きをしてください。


料金比較


 2022年5月現在で新規申込みが可能な主な新電力の料金を比較します(大手電力標準メニューとの世帯人数ごとの平均使用量での年間料金比較) 現時点で卸電力取引所の取引価格を反映しない料金プランのみを掲載しています。


九州電力エリア


 九州電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
ナンワエナジー
スタンダードM
+5.6%
+2573円
-1.8%
-1810円
-5.2%
-6153円
-7.0%
-9443円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2520円 -4320円 -6840円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -2.7%
-2745円
-4.5%
-5348円
-4.5%
-6164円

 以下の記事では上表やエネチェンジに掲載が無い新電力も多数紹介しています。


オール電化の場合は


 ナンワエナジーでは深夜の料金単価が安いプランなど、オール電化対応のプランを提供していました。新電力でオール電化プランを提供している会社は少ないので、貴重な存在でした。


 オール電化住宅が一般の料金プランに乗り換えた場合、電気代が年間数万円単位で高くなる恐れがあります。必ずオール電化プランへの切り替えを推奨します。九州では以下の新電力がオール電化プランを提供しています。


サービス名 公式サイト 備考
九州電力 公式サイト
J:COM電力 公式サイト
イデックスでんき 公式サイト 2022年5月現在新規申込み停止中



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