ONEでんきの概要
運営会社 | グランデータ | 電力調達 | 不明 |
---|---|---|---|
供給エリア | 沖縄・離島除く全国 | 契約条件 | 特に無し |
目次
ONEでんきの特徴
- 光通信系のグランデータ社が提供
- 「基本料金0円」の料金体系
- 料金高騰リスクがある料金体系に変更 2022年5月から
「ONEでんき」は光通信系の新電力であるグランデータ社が提供しています。グランデータ社はこれまでは新電力としては割高な料金プランを、対面販売を中心に売ってきた会社ですがこの「ONEでんき」はこれまでのグランデータ社の料金プランとは一線を画す料金プランとなっています。
他社の料金プランと比較しながら、メリット・デメリットを解説します。

料金プランとサービスの解説
乗り換えでいくらお得になる?
乗り換えで、電気料金がどれくらい安くなるのか。
世帯人数別に、平均的な電気使用量で大手電力会社の標準的なプランである「従量電灯」と比較します。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
北海道電力エリア フリープラン |
-1.1% -660円 |
-7.1% -9469円 |
-10.3% -15878円 |
-12.7% -22448円 |
東北電力エリア フリープラン |
+8.0% +3982円 |
+0.1% +33円 |
-4.2% -5412円 |
-7.3% -10962円 |
東京電力エリア フリープラン |
+4.8% +2476円 |
-3.1% -3481円 |
-6.8% -9065円 |
-9.7% -14799円 |
中部電力エリア フリープラン |
+2.7% +1388円 |
-1.6% -1841円 |
-4.9% -6336円 |
-7.3% -10905円 |
北陸電力エリア フリープラン |
-2.5% -1104円 |
-6.3% -5932円 |
-9.1% -9946円 |
-11.2% -14037円 |
関西電力エリア フリープラン |
+1.3% +587円 |
-8.1% -8205円 |
-9.8% -11456円 |
-11.3% -14933円 |
中国電力エリア フリープラン |
+6.5% +3050円 |
-4.4% -4728円 |
-6.1% -7406円 |
-7.4% -10271円 |
四国電力エリア フリープラン |
+4.2% +2001円 |
-5.2% -5552円 |
-7.1% -8700円 |
-8.6% -12067円 |
九州電力エリア フリープラン |
+3.5% +1629円 |
-2.9% -2936円 |
-6.7% -7872円 |
-9.5% -12905円 |
「基本料金0円+一律の電力量料金単価」という料金体系です。同様の料金体系で人気を集めるLooopでんきと同じ料金単価(フリープランの場合)に設定されており、Looopをかなり強く意識して設計されていると言えます。
使用量が少ない、契約容量が小さい場合はメリットが小さく、逆に使用量が多いか契約容量が大きい場合にメリットが大きくなる料金プランです。
ただし、2022年5月以降は電気料金が高騰するリスクがある料金体系へと変更されます。詳細は記事後半で詳しく解説します。

解約時の違約金は?
解約違約金などはありません。
支払い方法は?
クレジットカードと口座振替払いに対応しています。Looopでんきはカード払いのみなので、この点はONEでんきの方が使い勝手が良いと言えます。
ONEでんきの評価
環境面・エコ
環境省が公表したCO2排出係数のデータによると、ONEでんきのCO2排出量は1kWhあたり504g(2020年度実績)と、新電力としては平均的な成績でした。電源構成などは公表していません。

料金高騰リスクがある料金体系へ変更(2022年5月)
2022年3月31日、グランデータは約款の変更を発表しました。これにより、ONEでんきは「料金高騰リスクがある」料金プランになってしまいました。詳細を解説します。
卸電力取引所の取引価格変動を反映する料金体系に
2022年3月31日に発表された電気供給約款の変更により、ONEでんきを含むグランデータの電気料金メニューは卸電力取引所の取引価格変動を反映できる料金体系となりました。
これまでの料金メニューでは、燃料の輸入価格を毎月の料金に反映する「燃料費調整制度」が適用されていました。これは大手電力や他の多くの新電力と同様です。
今回の約款の変更により、従来の燃料費調整制度に加えて、卸電力取引所の取引価格を反映する「追加調整」が新たに導入されました。
「追加調整」とはどのようなものか
グランデータが2022年5月から導入する「追加調整」は、他の一部の新電力が「電源調達調整費」という名称で導入しています。グランデータと同じ光通信系のハルエネでんきでは2020年4月度から、エフエネでは2019年2月に電源調達調整費(電力調達調整費)を採用しています。
昨今、卸電力取引所の取引価格が高騰することがしばしばあり、それが新電力各社の経営に深刻なダメージを与えています。一般的な料金メニューでは、卸電力取引所の取引価格高騰を電気料金に反映することが出来ないため、高騰が起こると新電力は赤字が出ます。新電力が赤字を出さない(縮小する)ために、卸電力取引所の取引価格変動をユーザーに転嫁する仕組みが電源調達調整費です。
実際、グランデータ社も約款の改定にあたって以下のように説明しています。
昨今の慢性的な電力需給のひっ迫に加え、現在メディアでも報道されております燃料価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、これまでの電気供給約款では、電力を安定的に供給することが困難な状況になっております。本約款変更につきまして、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
引用元:【重要】約款変更のお知らせ(グランデータ)
「追加調整」の具体的なリスク-月6000円の負担増になる恐れ
グランデータの「追加調整」(他社では電源調達調整費)は以下のように計算されます。以下は東京電力エリアの計算式です。
条件 | 計算式 |
---|---|
エリアプライス 8.0円以下の場合 |
(エリアプライス平均値−8.0)×使用電力量(kWh) |
エリアプライス 11.0円以上の場合 |
(エリアプライス平均値−11.0)×使用電力量(kWh) |
エリアプライスは卸電力取引所の地域ごとの取引価格です。この1ヶ月平均(毎月1日〜末日)をもとに計算します。エリアプライスは環境市場から確認できます(右上のメニューから地域を選択、「年間」のタブを押せば月平均の推移が分かる)
電力の取引価格は冬場に高騰することが多いです。近年の「冬シーズン」の取引価格の推移を紹介します(東京エリア)
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
---|---|---|---|---|---|
19年度 | 9.03円 | 8.71円 | 8.17円 | 7.59円 | 7.48円 |
20年度 | 5.35円 | 14.35円 | 66.53円 | 8.29円 | 6.70円 |
21年度 | 17.59円 | 18.04円 | 23.95円 | 23.36円 | 30.76円 |
例えば2021年1月の月間取引平均価格は66.53円/kWhです。これをグランデータの「追加調整」の式に当てはめてみると、追加調整単価は56円に(小数点以下第1位で四捨五入とある) 月300kWhの電力を使用する一般的な家庭では「追加調整」だけで16800円の負担になります。
平均取引価格 | 追加調整単価 | 追加調整額 月300kWh使用 |
---|---|---|
66.53円/kWh 2021年1月高騰時 小売自由化後最高値 |
56円/kWh | 16800円 |
30.76円/kWh 2022年3月高騰時 |
20円/kWh | 6000円 |
4.83円/kWh 2020年7月暴落時 小売自由化後最安値 |
-3円/kWh | -900円 |
過去の取引価格に当てはめるとこのような金額になります。追加調整とは別途、電気料金は当然発生しますし燃料費調整も発生します。ちなみに、ONEでんきの電気料金は東電エリア・月300kWh使用で7920円(基本料金0円、電力量料金26.4円/kWh)なので、ひと度高騰が起きれば電気料金が2倍近くに膨れ上がる計算です。
実際には取引価格の「3ヶ月平均」を取るため単月で電気代が2倍以上になるリスクはそれほど高くはないものの、1ヶ月高騰が起きた場合にその影響を3等分して3ヶ月にわたり分割で負担することになるので、総額としては変わらないと言えます。
価格高騰は2022年冬シーズンにも懸念されている
電力広域的運営推進機関が2022年3月22日に、「2022年度冬季」の全国の電力需給の見通しを公表しました。それによると東京・中部電力エリアの2023年2月の「予備率」は2.7%と、電力安定供給に最低限必要とされる3%の水準を下回っています。
(電力広域的運営推進機関)
電力取引価格高騰は、燃料価格高騰と電力需給が逼迫により起こります。「逼迫」の見通しはすなわち電力取引価格高騰が低くない確率で起こりうることを示唆しています。
取引価格が下がれば電気代が割り引かれる方向に作用することも事実です。ですが電力小売完全自由化以降の最安値である4.83円/kWh(東京エリア)という水準は、新型コロナ感染拡大によりWTI原油先物が一時マイナス価格をつけるほどの「異常事態」が引き起こしたものであり、その異常事態時の取引価格でも900円程度しか料金削減メリットが無いわけで、メリットよりもデメリットの方が遥かにリスクが大きく、また出現確率も高いと言えます。電力需給の逼迫は近年、常態化しています。
以上の理由から、私はこのような電源調達調整費を加算する料金プランの契約を推奨しない、契約している人に対しては解約を推奨しています。
結論
話が長くなってしまったので、整理します。
- 卸電力取引所の取引価格を反映する料金体系に変わった(22年5月1日〜)
- 「料金高騰」が起こるリスクは低くない
このような料金体系に「変更」する新電力が特に2021年秋以降、増えています。とはいえまだ少数派なので、電源調達調整費のような仕組みの無い新電力・料金プランへの乗り換えを強く推奨します。
当サイトではこのような変更が加えられたことを確認した時点で料金シミュレーション画面に「料金変動リスクあり」とコメントを記載しています。電源調達調整費を導入する新電力が少しずつ増えてきており、新たに乗り換えた先でもグランデータと同じように後から追加されないか注意する必要があると言えます。
現状、ONEでんき(約款改定前)と料金水準が同程度の新電力の多くが電力取引価格高騰の影響を受け、新規契約受付けを一時停止、値上げするなどしている状況です(新規停止→Looopでんき、あしたでんきなど 値上げ→楽天でんき)
今後再びこのような事態に巻き込まれたくない方には、料金水準がもう一、二段高く、かつ自社グループで大規模な「火力発電所」を保有している新電力を選ぶことを推奨します。具体的には以下の新電力が該当します。
これらの会社も料金改定を行わない保障はありませんが、他の多くの新電力より価格高騰の影響を受けづらく、また会社の規模も大きいので体力があります。
公式サイトの記載は誤解を招く
ONEでんきの公式サイト上には『ONEでんきは・・・「市場連動型プラン」ではありません。』との記載があります。
ですがこれまで説明したとおり、ONEでんきの料金プランは卸電力取引所の取引価格の変動を電気料金に反映しうる料金体系に変更されているため、この記載は誤解を招きかねない表現であるといえます。当サイトでは電源調達調整費を採用している料金プランを一部市場連動型プランと定義しており、広義の「市場連動型プラン」に該当するものと整理しています。