お得電力は本当に安い?メリット・デメリットを専門家解説

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「お得電力」を専門家が解説します。


 一部地域ではテレビCMを流している「お得電力」 そのメリット・デメリットを、電気料金の専門家としてこれまでに多数のメディア取材(産経新聞、日経トレンディほか)を受けてきた私が分かりやすく解説します。読み込むのが大変な供給約款にも目を通した上で評価します。



お得電力(Qvou)とは


 お得電力は株式会社Qvouが提供している電力供給サービスです。Qvouは「のむシリカ」というミネラルウォーターの販売で知られている会社で、太陽光発電事業なども手掛けているようです。


 お得電力は地域名を冠したサービス名で展開しており、北海道では北海道お得電力、東北では東北お得電力、中国地方では中国お得電力というサービス名で展開し、テレビCMを放映している地域もあるようです。


お得電力のメリット


 お得電力のメリットを解説します。


大手電力標準メニューよりも安い


 お得電力の料金プランは、東京電力や中国電力といった各地域の大手電力会社の標準メニューと比較して割安な料金で提供されています(一部地域は除く) いくつかの地域の料金を、各地域の大手電力会社の標準メニューと比較します。


シュミレーション条件
お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
北海道電力エリア
従量電灯B
-2566円 -5470円 -6317円 -7213円
東北電力エリア
従量電灯B
-2201円 -4732円 -5489円 -6290円
中国電力エリア
従量電灯A
-2216円 -4777円 -5422円 -6112円

 テレビCMなどでは「20%安くなる」といったキャンペーンが全面に打ち出されていますが、毎月の電気料金は概ね数%程度割安な料金設定となっています。例えば東京電力エリアで2人世帯標準使用条件(30A契約・月348kWh)の場合、東京電力の標準メニューと比較して年間で約4600円割安です。


 細かな料金シミュレーションは当サイトの電気料金一括シミュレーションにお得電力を掲載しているので、こちらで確認してください。北海道から沖縄エリアまで主要プランを掲載しています。


 なお、関西電力エリアでは燃料費調整額の関係で2024年6月現在、関西お得電力は関西電力の従量電灯A・Bと比較して割高になっています。詳しくは料金シミュレーションを確認してください。


市場連動型プランではない


 約款で確認しましたが、お得電力は2024年6月現在は市場連動型プランに該当しません。


 毎月の電気料金に加算される燃料費調整額は、各地域の大手電力会社の燃料費調整額と同等の内容となっており、大手電力会社の燃料費調整額と同水準の燃料費調整額が加算されます(関西・九州は除く)


 電力取引価格高騰の影響を受けない料金体系です。




お得電力のデメリット


 お得電力のデメリットを整理して解説します。


解約事務手数料が掛かる


 お得電力は解約時に3300円の解約事務手数料が発生します。


 他の新電力会社では、契約から1年以上経過すれば解約事務手数料や解約金が掛からないとしているところが多い(あるいは最初からそういった費用が掛からない)ものが一般的ですが、お得電力では契約期間に関係無く、解約時に解約事務手数料が発生するようです。


 多くの場合、電気代が割安に設定されていますが短期間で解約した場合に節約額を解約事務手数料が上回るケースも起こり得る点には注意が必要です。特に電気の使用量が少なく、節約額が小さい一人暮らし世帯の場合、1年半以上利用しないと解約事務手数料負けしてしまいます(東京エリア・20A契約・月170kWh)


今後の料金改定に要警戒


 契約する場合は、料金体系などの改定に注意してください。


 中小の新電力会社を中心に、最初は割安な料金プランだったはずが、料金改定によりいつの間にか大手電力会社より「割高」になっていたという事例が近年よく起きています。お得電力は現時点では割安(関西は除く)ですが、今後の料金改定次第では割高になる場合もあることを忘れないでください。


 特に燃料費調整額の計算方法の変更(市場連動型への移行など)には注意してください。




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