西部ガスは九州電力よりも電気代が高くなっている
現在、西部ガスは一部地域で電気代が大手電力の従量電灯プランよりも割高になっています。その原因と対策を解説します。
目次
燃料費調整に上限が無い西部ガス
西部ガスは燃料費調整に上限を設けておらず、青天井で上昇します。そもそも燃料費調整の上限とは何か、解説します。
燃料費調整の上限とは
電気料金は「本体部分」にあたる基本料金と電力量料金に加え、再エネ賦課金と燃料費調整によって構成されています。
燃料費調整は燃料(LNG、石炭、石油)の輸入価格の変動を毎月の電気料金に転嫁する仕組みで、西部ガスを含めて多くの新電力会社は各地域の大手電力会社と同じ計算式を採用しています。
ただし、大手電力会社の標準プランである従量電灯の燃料費調整には「上限」が設けられているのに対し、西部ガスを含む多くの新電力や大手電力の新しい料金プランには上限がありません。
燃料費調整単価 2023年4月分 |
電気代の差 月300kWh | |||
---|---|---|---|---|
上限あり | 上限無し | 差 | ||
北海道電力エリア | 3.66円/kWh | 8.57円/kWh | 4.91円/kWh | 1473円 |
東北電力エリア | 3.47円/kWh | 11.80円/kWh | 8.33円/kWh | 2499円 |
東京電力エリア | 5.13円/kWh | 10.25円/kWh | 5.12円/kWh | 1536円 |
中部電力エリア | 5.36円/kWh | 9.93円/kWh | 4.57円/kWh | 1371円 |
北陸電力エリア | 1.77円/kWh | 9.34円/kWh | 7.57円/kWh | 2271円 |
関西電力エリア | 2.24円/kWh | 9.67円/kWh | 7.43円/kWh | 2229円 |
中国電力エリア | 3.19円/kWh | 13.77円/kWh | 10.58円/kWh | 3174円 |
四国電力エリア | 2.55円/kWh | 10.76円/kWh | 8.21円/kWh | 2463円 |
九州電力エリア | 1.94円/kWh | 7.56円/kWh | 5.62円/kWh | 1686円 |
沖縄電力エリア | 3.98円/kWh | 17.32円/kWh | 13.34円/kWh | 4002円 |
多くの地域で燃料費調整の上限に達しているため、上限が無い料金プランは燃料費調整部分で電気代が大幅に割高になっています。
なお、西部ガスも以前は燃料費調整に上限を設けていたのですが、2022年9月分から上限を撤廃しています。そのため9月分の電気料金は急激に上昇します。
市場連動型プランとは異なる
混同しやすいのが市場連動型プランと呼ばれるリスクの高い料金プランとの違いです。
市場連動型プランと一般的な燃料費調整の違いは以下のとおりです。
燃料費調整 | 市場連動型プラン | |
---|---|---|
参照する値 | 財務省貿易統計の 原油・LNG・石炭輸入価格 と為替レート |
卸電力取引所の 電力取引価格など |
変動幅 | 調達調整費より 小さい |
かなり大きい ※会社によって異なる |
採用している 電力会社 |
ほとんどの会社 大手電力・新電力 |
ごく少数の会社 |
一般的な燃料費調整は財務省の貿易統計の数字を元に計算されます。一方、市場連動型プランは日本卸電力取引所での電気の取引価格を元に電気代が変動します。
一部の新電力は燃料費調整という名目で実質的に市場連動型プランを採用している例もありますが、西部ガスについては市場連動型的な要素は無いのでその点ではリスクは小さいと言えます。
九州電力より電気代が割高になっている
西部ガスは燃料費調整に上限を設けていません。そのため、燃料価格が高騰する局面では以下のような「影響」が掃除ます。
燃料費調整を含めた試算を要確認
2022年9月分の燃料費調整単価を元に電気代を試算すると、西部ガスは九州電力の従量電灯よりも電気代が割高になるケースが多いです。
月300kWh(契約容量30A)で試算すると、九州電力の従量電灯Bより月620円程度割高になっています(ガスセットプラン) 現在、多くの家庭で九州電力よりも割高になっています。
燃料費調整を含めた料金試算は以下の料金一括シミュレーションで確認できます。
高くなっている場合の対処方法は
燃料費調整は今後も高値圏で推移することが懸念されており、西部ガスの電気料金は今後もしばらくの間、九州電力の従量電灯よりも割高に推移するリスクがあります。燃料費調整に上限を設けている料金プランへの切り替えを推奨します。燃料費調整に上限を設けているのは以下の料金プランです。
- 九州電力 従量電灯B/C
- 一部の新電力会社
九州電力エリアでは、燃料費調整に上限が無いほぼ全ての料金プランが、ほぼ全ての一般家庭で大手電力の従量電灯よりも割高となっている深刻な状況です(2022年9月分燃料費調整単価)
なお、燃料費調整に上限を設けている新電力についても上限を「撤廃」する会社が相次いでいるので、新電力に切り替える場合は切り替え後の約款の変更に注意してください。
燃料費調整に上限がある料金プランの一覧
燃料費調整に上限を設けている新電力の料金プランを抜粋して紹介します。
九州電力エリア
九州電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 | 20A / 月170kWh |
30A / 月348kWh |
40A / 月391kWh |
50A / 月437kWh |
コスモでんき スタンダード |
20A契約不可 | -2520円 | -4320円 | -6840円 |
コスモでんき ポイントプラス |
20A契約不可 | -2.7% -2745円 |
-4.5% -5348円 |
-4.5% -6164円 |