「自然電力のでんき」のメリット・デメリット

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自然電力のでんきが供給終了へ。契約者の対処方法まとめ

自然電力の概要


運営会社 自然電力 電力調達 再エネ36%
卸電力取引所51% ほか
供給エリア 離島、沖縄を除く全国 契約条件 特に無し

自然電力の特徴


東京ガスが出資
・市場価格に連動する特殊な料金体系
・電気料金が高騰するリスクがある
・2022年11月でサービス終了


 福岡県に本社を置く自然電力が提供しています。
 自然電力は2011年6月に、社長の磯野謙氏(リクルート出身)が東日本大震災をきっかけとして設立したエネルギーベンチャー企業で、再生可能エネルギーの発電所の運営などを手がけています。ドイツの大手エネルギー会社MVV Energy傘下で再エネの開発を手がけるjuwi社と合弁会社を設立するなど、再エネの開発に力を入れています。


 また、2017年には東京ガスから出資を受け、太陽光発電の共同開発を進めています。


 2021年1月の電力取引価格高騰を受けて多くの契約者が流出、その対策として2021年4月から新たな料金プランの提供を開始しました。最新情報を解説します。




料金プランとサービスの解説


 自然電力の電気の料金プランやサービス内容を詳しく解説します。


3プランの比較


 自然電力では3つのプランを提供しています。


プラン名 実質再エネ比率 料金上乗せ
Forest 100% 1.44円/kWh
Tree 30% 0.43円/kWh
Leaf 3% 0.04円/kWh

 「実質再エネ比率」が異なるのが最大の特徴です。自然電力では再エネでない電力も供給していますが、その電力に非化石証書(再エネ指定)という証明書を付けることで、その電力が実質的に再エネと認められる仕組みを利用します。


市場連動型という特殊な料金プラン


 自然電力の料金プランは、いずれも「市場連動型」と呼ばれる特殊な料金プランです。


 一般的な電気料金プランでは、予め決まった料金単価に基づいて電気料金が計算されます。それに対し市場連動型プランでは、卸電力取引所で刻一刻と変動する電力の「取引価格」に、諸手数料などを加えた金額が電気料金として発生する仕組みです。


 取引価格は30分単位で16時00〜30分までのコマについて、1kWhあたり6.0円といった形で取引価格が決まります。その30分ごとに変動する取引価格に連動するのが市場連動型プランです。


 取引価格が安くなれば電気料金が安くなる可能性もありますし、高騰すれば電気料金が高額になる恐れがあるのが市場連動型プランのメリット・デメリットと言えます。


 なお、取引価格は事前の予想が出来ず、自然電力の「料金単価」は事前のシミュレーションが不可能です。自然電力公式サイトや他の電力比較サイトでは過去の実績に基づいた試算を提供していますが、当サイトではトラブルを避けるため2019年4月をもって市場連動型プランを電気料金シミュレーションに掲載しないこととしました。


取引価格に「上限・下限」が設けられた


 自然電力の以前の料金プラン(SE30、SEデビュー、SE100)では参照する取引価格に特に上限や下限はありませんでした。仮に取引価格が1kWhあたり300円になれば、大手電力の10倍の料金が発生するリスクのある料金プランです。


 2021年春からの新プランでは、この取引価格に以下の上限・下限が設けられました。


上限価格 20円/kWh
下限価格 5円/kWh

 下限価格については、契約を継続すると毎年1円ずつ下がっていく「継続割」も用意されています。電力の取引価格は太陽光発電の普及に伴い、特に九州をはじめ西日本エリアでは春・秋の昼間に「0.01円」という取引価格がつくことも珍しくなく、そのようなタイミングでは市場連動型プランが有利です。


 一方、過去には取引価格が長期間にわたり200円を超えたこともありますが、20円という上限が設けられたことでリスクが大幅に低減されています。過去の上限の無いプランでは、高騰が長く続くと電気代が大手電力標準メニューの数倍以上になる恐れがありましたが、上限があることで大幅に割高となるリスクは依然として残るものの、数倍になるようなリスクは非常に小さくなったと言えます。


解約時の違約金は?


 契約上は1年契約となっていますが、いつ解約しても違約金の発生は無いとしています。


 なお、以前は契約時に5千円のデポジット(解約時に全額返金)が必要でしたが、2018年10月に廃止され、現在はありません。


支払い方法は?


 クレジットカード払いのみです。


自然電力の評価


 自然電力について更に詳しく解説します。


顧客対応は?


 2018年6月にメールで問い合わせを行ったところ、土日をはさんで2営業日後に返信がありました。また、2019年4月にもメールで問い合わせていますが、翌日には回答を得られました。速さの面では問題無いと感じます。


 不満点を挙げるとすると、ウェブのメールフォームに200文字という字数制限があり、とても不便だと感じました。


環境面・エコ


 2019年度実績の電源構成はFIT電気14%と公表しています。FIT電気は太陽光発電など再生可能エネルギーによって発電された電力ですが、制度上「再エネとして扱わない」「CO2を排出する」電力として扱われているものです。


 2019年度実績のCO2排出係数は1kWhあたり159gと、新電力としては大幅に少ないと言える値でした。東電や関電など大手電力10社と比較しても大幅に少ない値です。


再エネ導入を支える非化石証書


 自然電力のでんきでは、この非化石証書を利用することで実質的にCO2排出量が少ない電力を販売しています。


市場価格連動にはメリットも


 記事前半では市場価格連動型プランの注意点を中心にまとめましたが、使い方によっては通常の料金プランよりも割安になる場合もあります。


 前述のとおり、電気の「市場価格」は地域・季節・時間帯によっては0.01円/kWhと「タダ同然」で取引されている場合もあります。


 例えば取引価格が0.01円の時に自然電力の「SE100」プランで電気を使った場合、諸手数料を含めた電気代は1kWhあたり12.55円となり、料金が安い新電力でも1kWhあたり20円程度であることをふまえると、非常に安くなります。


 「安い時」に多く使い、「高い時」に使わなければ電気料金を大幅に圧縮できるのが市場価格連動型プランのメリットと言えます。具体的に、電気が安いのは以下のタイミングです。



2021年現在、市場連動型プランの利用は推奨できない


 2021年現在、市場連動型プランの利用を推奨することは出来ません。経産省が「電力不足」の見通しを公表しているためです。


 経産省が2021年5月に、2021年夏と2022年1・2月に過去数年ではもっとも厳しい「電力不足」の見通しを公表しました。特に22年1・2月は非常に深刻な見通しとなっています。


 電力の取引価格は、電力需給が逼迫すると高値で推移するため、経産省の見通しどおり需給が逼迫した場合、市場連動型プランを契約していると電気料金が高くなる恐れがあります。


 市場連動型ではない、他の多くの新電力の料金プランは取引価格高騰の影響がありません。価格高騰リスクが想定される現段階では、市場連動型ではないプランを契約することを強く推奨します。


2021年1月の価格高騰について


 当サイトではこれまで市場連動型プランについて注意喚起を続けてきましたが、電力不足を原因として2020年の年末から2021年1月下旬にかけて卸電力取引所の取引価格が異常な高騰を続けました。


期間(1週間) 東京エリアプライス
平均価格
11月29日〜12月5日 6.09円/kWh
12月6日〜12月12日 6.21円/kWh
12月13日〜12月19日 18.29円/kWh
12月20日〜12月26日 16.01円/kWh
12月27日〜1月2日 28.32円/kWh
1月3日〜1月10日 76.65円/kWh

 通常の取引価格は年間平均で8円程度です。1月上旬の取引価格で試算すると、東電で8千円で済むところが市場連動型プランでは電気料金が3万円に達する恐れがあります(月350kWh、40A契約での概算)

 なお、当サイトでは今回のような価格高騰・変動リスクを考え、市場連動型プランを料金シミュレーションに以前から掲載していません。


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