自然電力のでんきが供給終了へ。契約者の対処方法まとめ

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サービス終了する自然電力のでんき


 自然電力のでんきが2022年11月30日をもって「供給終了」となり撤退することが発表されました。契約者が取るべき対処方法を解説します。



自然電力のでんきとは


 再生可能エネルギーの開発を手掛ける自然電力が提供している電力小売サービスです。


 2017年に「自然電力のでんき」のサービスを開始、電気料金比較サイトでキャッシュバックをばら撒くなど積極的な営業活動を推進しサービスを拡大させていました。サービス開始当初から「市場連動型」と呼ばれる料金プランを提供し、家庭向けに市場連動型プランを提供するパイオニア的な存在でしたが2020年末から2021年1月にかけて電力取引価格が約1ヶ月にわたり高騰、契約者に不安が拡がりました。


 2022年5月の販売電力量から推定した契約件数は約7000件です(低圧電灯)


自然電力のでんきが撤退する理由・背景


 自然電力のでんきが撤退する背景にある事情を解説します。


電力取引価格の大幅な高騰が背景に


 日本では2021年秋頃から電力の取引価格が高騰しています。以下は卸電力取引所の電力取引価格の月平均価格です(東京電力エリア向けの取引価格 単位:円/kWh)


11月 12月 1月 2月 3月
19年度 9.03円 8.71円 8.17円 7.59円 7.48円
20年度 5.35円 14.35円 66.53円 8.29円 6.70円
21年度 17.59円 18.04円 23.95円 23.36円 30.76円

 通常、卸電力取引所の取引価格は平均で8〜9円程度と言われていますが、2021年秋から平均的な水準の2倍以上の価格で推移しています。


 取引価格高騰の原因はLNG(液化天然ガス)や石炭価格の大幅な高騰と、電力需給の逼迫が要因として挙げられます。2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻により一層取引価格が高くなったのも事実ですが、侵攻前から既に高騰が起きていました。


 2023年1・2月にも深刻な電力不足が想定されており、再び電力取引価格の大幅な高騰が起こることが懸念されています。


 自然電力は市場連動型の料金プランを中心に提供しているため、市場連動型プランを提供していない他の新電力と比べて電力取引価格高騰による業績への悪影響が小さいと言えます。一方、自然電力の市場連動型プランを利用している契約者の電気料金は2021年末以降長期にわたり高騰が続いており、それは今後も当面続くことが予想されます。


 利用者にとってメリットが無いこと、また自然電力側にとっても電力調達コストの高止まりから収益が圧迫されることなどが背景として指摘できます。


契約者が取るべき対処方法は


 自然電力のでんき契約者は何をすべきか。対処方法を解説します。


出来るだけ早く他社への切り替えを


 自然電力のでんきは電気の供給契約を解除することを表明しています。自然電力のでんきを契約している人は、出来るだけ早くほかの電力会社に「乗り換える」手続きを行ってください。タイムリミットが11月30日と既に余裕が無いのでこの記事を読んだらすぐに手続きしてください。


 他社に対し申込みを行うと、自然電力のでんきに解約の手続きが自動で飛ぶので、自然電力のでんきに対し電気の解約手続きを行う必要はありません。他社に切り替える際に「供給地点特定番号」と呼ばれる22桁の数字と、自然電力のでんきの「お客様番号」が必要となるので確認してください。これらの情報は自然電力から毎月届いていた電気料金の請求メールに添付されたPDFなどに記載されています。


手続きすれば停電の心配は無い


 期限までに他社に切り替える手続きをすれば、停電することなく電気の使用を継続出来ます。私自身、契約していた熊本電力が2022年3月をもって供給を停止するというトラブルに巻き込まれましたが、停電すること無く電気の使用を継続することが出来ています。安心してください。


 何もせずに放置しておくと停電しますが、速やかに手続きをすれば停電する心配は無いので安心してください。


ハチドリ電力の契約者は?


 ボーダレス・ジャパンが提供しているハチドリ電力は、これまで自然電力が電力供給を担当していました。ですが2022年8月に約款の変更が発表され、現在はボーダレス・ジャパンからの供給に切り替わっているため今回の自然電力のサービス終了の影響は受けないものとみられます。


 ただし、ハチドリ電力は市場連動型プランを提供しており、昨今の電力取引価格高騰の影響を受けて電気代が大幅に高騰しています。この機会に契約を見直すことを推奨します。


切り替え先を選ぶ際の注意点


 切り替え先を選ぶ際の注意点をまとめます


燃料費調整に上限があるプランを選んで!


 2022年下半期現在、燃料価格の暴騰が続いています。それに伴い、燃料価格の変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額(自然電力の市場連動型プランには無い)が高騰しています。


燃料費調整単価
2023年4月分
電気代の差
月300kWh
上限あり 上限無し
北海道電力エリア 3.66円/kWh 8.57円/kWh 4.91円/kWh 1473円
東北電力エリア 3.47円/kWh 11.80円/kWh 8.33円/kWh 2499円
東京電力エリア 5.13円/kWh 10.25円/kWh 5.12円/kWh 1536円
中部電力エリア 5.36円/kWh 9.93円/kWh 4.57円/kWh 1371円
北陸電力エリア 1.77円/kWh 9.34円/kWh 7.57円/kWh 2271円
関西電力エリア 2.24円/kWh 9.67円/kWh 7.43円/kWh 2229円
中国電力エリア 3.19円/kWh 13.77円/kWh 10.58円/kWh 3174円
四国電力エリア 2.55円/kWh 10.76円/kWh 8.21円/kWh 2463円
九州電力エリア 1.94円/kWh 7.56円/kWh 5.62円/kWh 1686円
沖縄電力エリア 3.98円/kWh 17.32円/kWh 13.34円/kWh 4002円

 大手電力の従量電灯プランでは、燃料費調整額に上限が設けられているため上昇が食い止められています。一方、多くの新電力そして大手電力の新しい料金プランにはこの上限が無いため、燃料費調整額まで含んだトータルの電気代が高騰しています。


 電気料金本体部分(基本料金+従量料金)で大手電力従量電灯よりも「安い」はずの料金プランが、燃料費調整額まで含めてみると実は大幅に割高になっているケースが非常に多いというか、2022年11月分燃料費調整単価で計算すると全国のほぼ全ての料金プランがそのような状況にあるため、必ず燃料費調整に上限がある料金プランへ切り替えるようにしてください。


時間的余裕が無いので大手電力従量電灯を推奨


 新電力への切り替えは申込みから1ヶ月以上の時間が掛かることが多いです。今回はサービス終了の発表からタイムリミットまで2ヶ月無いため、大手電力従量電灯への切り替えが安全だと思います。


 ネットでは短い期限での申込みを受付けていない場合もありますし、また東電などでは燃料費調整に上限がある従量電灯への申込みはネットからは出来ない場合があるので、その場合は電話で手続きをしてください。


地域別料金比較


 新規申込みが可能、かつ燃料費調整に上限を設けているな主な新電力の料金を比較します(大手電力標準メニューとの世帯人数ごとの平均使用量での年間料金比較)


北海道電力エリア


 北海道電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -4.3%
-5640円
-4.7%
-7200円
-5.1%
-9000円
北海道ガス
(給湯+暖房割)
公式サイト
-4686円 -10235円 -11714円 -13290円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -4.5%
-6028円
-4.5%
-7011円
-4.5%
-8050円

東北電力エリア


 東北電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -4.5%
-5009円
-4.5%
-5876円
-4.5%
-6791円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -1.2%
-1320円
-2.2%
-2880円
-2.8%
-4200円

東京電力エリア


 東京電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
下町でんき
下町電灯B
20A契約不可 -5.0%
-5682円
-5.0%
-6638円
-5.0%
-7648円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2.2%
-2520円
-3.2%
-4320円
-4.9%
-7440円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -4.5%
-5169円
-4.5%
-6043円
-4.5%
-6965円

中部電力エリア


 中部電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -4.5%
-5095円
-4.5%
-5918円
-4.5%
-6789円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -1.3%
-1440円
-1.5%
-1920円
-1.5%
-2160円

北陸電力エリア


 北陸電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -2.7%
-2586円
-4.5%
-4993円
-4.5%
-5713円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2.4%
-2280円
-2.5%
-2760円
-1.5%
-2160円

関西電力エリア


 関西電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
コスモでんき
スタンダード
0円 -2640円 -5160円 -6120円
コスモでんき
ポイントプラス
-0.9%
-410円
-2.7%
-2775円
-4.5%
-5298円
-4.5%
-6018円

中国電力エリア


 中国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
コスモでんき
ポイントプラス
-0.9%
-424円
-4.5%
-4841円
-4.5%
-5534円
-4.5%
-6276円
コスモでんき
スタンダード
0%
0円
-2.6%
-2760円
-4.1%
-5040円
-4.2%
-5760円

四国電力エリア


 四国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
コスモでんき
ポイントプラス
-0.9%
-434円
-4.5%
-4884円
-4.5%
-5599円
-4.5%
-6364円
コスモでんき
スタンダード
0%
0円
-2.3%
-2520円
-4.1%
-5040円
-4.2%
-5880円

九州電力エリア


 九州電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2.5%
-4320円
-3.7%
-4320円
-5.0%
-6840円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -2.7%
-2745円
-4.5%
-5348円
-4.5%
-6164円



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