太陽石油(SOLATO)の電力自由化
石油元売としてはシェア4位の太陽石油。同社の「電気」について、電力自由化の専門家として多数のメディア取材を受ける私が、詳しく解説します。
目次
太陽石油(SOLATO)とはどんな会社?
まずは太陽石油について簡単に紹介します。
太陽石油は高知県で創業した石油会社で、ENEOS、出光興産、コスモ石油に次ぐ業界4位の会社です。「ソラト」というガソリンスタンドを全国展開していますが、特に四国エリアと宮崎県に強い石油会社です。
大規模な再編が相次ぐ石油業界ですが、太陽石油は独立を保ち続けています。
電力自由化に参入していない太陽石油
太陽石油の電力事業を解説します。
石油元売ながらも電力自由化未参入
石油業界の上位3社は、いずれも電力自由化に参入し力を注いでいます。しかし業界4位の太陽石油は2020年現在、電力自由化に参入していません。
2016年以前から業務用の電力を販売、また2016年から家庭向けにも電力を販売しているENEOS、昭和シェルと対照的な展開をしています。
発電事業も手掛けていない
大手3社はいずれも製油所などに大規模な火力発電所を設けるなど、電気の販売だけでなく「発電」にも力をいれています。
ですが太陽石油は発電事業を手掛けるのに必要な「発電事業者」として登録を行っておらず、大規模な発電事業も手掛けていません。
出資先でメガソーラー発電所の運営を手掛けるなどしているものの、電力事業には積極的に取り組んでいないと言える状況があります。
今後の動向は?
国内の石油業界が縮小する中、新たな事業領域として電力事業に力を入れている石油元売会社が多い中、太陽石油は電力事業への本格参入の姿勢を見せていません。一方、世界的に需要の増加が見込まれる石油化学製品の製造販売に力を入れています。
太陽石油の石油製品販売額の7割が他社への卸売であり、自社で展開しているSOLATOの売上よりも大きいという現実があります。他社ではガソリンスタンドのお客さんに対し、給油の割引特定などを訴求して電気の販売を増やしているところが目立ちますが、SOLATOは自社ブランドのガソリンスタンドの店舗数が少ないということもあり、参入しても充分な収益を見込めないと判断しているのではないでしょうか。
ガソリンの割引がある他社の電力事業
電気を販売している他社では、電気を契約すると給油の割引を受けることが出来ます。
出光興産
出光興産では2016年から家庭向けに電気の販売を行っています。また、東京ガスと共同で大規模なガス火力発電を手掛けるなど、電力事業に力を入れています。
電気を契約すると、昭和シェルのガソリンスタンドで給油が2円/L引きになる特典があります(月100Lまで) Pontaのポイントカードを店頭で提示することで、割引を受けることが出来ます(現金や他社クレジットカード払いでも割引が適用)
新電力としては珍しくオール電化プランも提供しているのも特徴です。
ENEOSでんき
2016年から家庭向けに電力を販売し、既に62万件の契約を獲得しています。
ENEOSでんきを契約し、更に「ENEOSカード」で電気代と支払っている人に対し、給油が1円/L引きになる特典を提供しています(月150Lまで)
ENEOSカードはクレジットカードですが、年会費無料のカードもあり、またENEOSカード自体にも割引特典があり、それに加算する形で割引が行なわれます。