東電のスマートライフプランは「高い」
東京電力のオール電化プランである「スマートライフプラン」の電気代が高いという声は多く聞かれます。なぜそう言われるのか、電力自由化の専門家として数多くのメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。
目次
スマートライフプランはなぜ高いと言われるのか
東電のスマートライフプランが高いと言われる理由と背景を数字を交えながら解説します。
以前のプランと比較して大幅に割高という事実
東電は2016年3月末まで「電化上手」というオール電化プランを提供していました。スマートライフは電化上手の後継プランにあたります。
以前のプランである電化上手プランは、現行のスマートライフと比べて深夜料金単価が大幅に安く設定されています。
プラン名 | 深夜料金単価 |
---|---|
電化上手 23〜翌7時 |
12.48円/kWh |
スマートライフL 1〜6時 |
17.78円/kWh |
深夜料金の単価に1.4倍もの差があります。
原子力発電が稼働していた時代は、深夜に電力が「余りやすい」状況がありました(原発は出力を一定に保って運転するため) ですが東日本大震災後、東電はすべての原発を停止しており、深夜に電力が余っていないため深夜割引が縮小されたというわけです。
一方、昼間の料金単価はスマートライフの方が安く設定されていますが、一般的なオール電化住宅で試算すると以下のような試算結果となります(10kVA契約、月480kWh)
プラン名 | 月料金 |
---|---|
電化上手 | 11903円(その他季節) 12330円(夏季) |
スマートライフL | 13800円 |
スマートライフは実に年間2万円近く「割高」と言えます。
昼間の料金単価が割高に設定されている
オール電化プランは深夜の料金単価が安い反面、昼間の料金単価が割高に設定されています。
このような料金体系であるため、昼間に電気を多く使うと電気代の単価自体が高くなり、電気代が高くなります。この点はどのオール電化プランでも同じことですが、昨今は在宅勤務などで昼間の在宅時間が長くなっているため、電気代が高くなりやす状況にあると言えます。
オール電化は電気を多く使う
見落としがちなポイントですが、オール電化住宅はすべての熱源を電気でまかなうため、一般住宅と比べて電力使用量が格段に多く、その分電気代が高くなります。
ガス代は掛からないため、光熱費として見ればトントンかオール電化の方が安く済む場合もありますが、「電気代」はどうしても高くなります。これはスマートライフプランに限った話ではありませんが見落としがちな事実です。
燃料費調整額に上限が無い(無制限)
燃料の輸入価格の変動を毎月の電気料金に転嫁する燃料費調整額という料金項目があります。
東電の最もベーシックな料金プランである「従量電灯」では、この燃料費調整額に上限を設けており燃料価格の異常な高騰が発生しても燃料費調整額の上昇には天井があります。
ですがスマートライフについてはこの上限が設定されておらず、燃料価格の異常な高騰が発生した場合、燃料費調整額の高騰により電気代が高くなることがあります。
現在、燃料価格の高騰が発生しており東電管内では2022年9月分以降、燃料費調整額の上限を超えて推移しています。一般住宅向けの「従量電灯」では電気代の高騰が食い止められている一方、上限が無いオール電化プランの電気代が高騰しています。
スマートライフより安いプランも続々登場
スマートライフプランよりも電気代が安いプランも続々登場しています。以下、紹介します。
CDエナジー スマートでんき
プラン名 | 月料金 |
---|---|
CDエナジー スマートでんき |
13662円 |
東京電力 スマートライフ |
13800円 |
中部電力と大阪ガスが共同で設立した新電力会社です。オール電化向けプランである「スマートでんき」は基本料金・電力量料金ともに東電のスマートライフと同額で、ポイント還元の1%分、東電より安くなる料金体系です。高くなることは無いため安心して契約できる料金体系です。燃料費調整も東電と同額です。
解約違約金が発生しない点でもおすすめです。
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