東京ガスの電源構成を詳しく解説
東京ガスの電力はどこから来るのか。電力自由化の専門家としてこれまでに多数のメディア取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。
東京ガスの電源構成
電源構成を、公表されている情報をもとに分かりやすく解説します。
LNG火力発電が中心
東京ガスの電源構成は以下のとおりです(2018年度実績)
発電方法 | 構成 |
---|---|
LNG火力発電 | 69% |
石炭火力発電 | 10% |
再生可能エネルギー | 7% |
FIT電気 | 3% |
卸電力取引所 | 3% |
その他 | 6% |
LNG火力発電が主力です。LNGとは液化天然ガスのことで、都市ガスの主な原料でもあります。都市ガス用のLNG関連の設備を活用した発電を行っています。
電源構成にある「FIT電気」は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーでつくられた電力ですが、「再エネである」という価値の部分が取り除かれているため、再エネとして扱わないことがルールとして定められています。他社ではあたかも再エネであるかのような宣伝を行っているところもあるので、注意が必要です。
CO2排出係数は
CO2排出量のデータです。販売した電力1kWhあたりのCO2排出量を表します。
東京ガス | 東京電力 | |
---|---|---|
2018年度 | 398g | 455g |
2017年度 | 371g | 462g |
2016年度 | 382g | 474g |
東京ガスが主力としているLNG火力発電は火力発電でありCO2を排出する発電方法ではありますが、石炭火力発電や石油火力発電と比較してCO2排出量が大幅に少ない利点があります。
東京ガスのCO2排出量は東電と比較しても少ないのはもちろん、新電力としては優秀な値と言えます。再エネ・エコイメージを売りにしている新電力でも、東京ガスより排出量が多いところがあります。
これまでの傾向と今後の展望
東京ガスはこの数年で契約件数を200万件以上と、大幅に増やしています。そのため提携先のLNG火力発電からの調達が間に合っておらず、電源構成に占めるLNG火力発電の割合を年々低下させています(16年度はLNG火力で100%だった)
一方、2019年から栃木県真岡市で稼働を開始した真岡発電所(神戸製鋼系)でつくられた電力を全量購入するなど、新たな発電所からの調達にも力をいれています。記事執筆時点ではまだ公表されていませんが、、2019年度実績の電源構成では再びLNG火力発電の比率が高まるはずです。
再生可能エネルギーの開発にも力を入れる方針が示されており、顧客の増加とあわせて今後も安定的な電力調達に期待したいです。
東京ガスが関連する特徴的な発電所
東京ガスが電力を調達している主な発電所を紹介します。
コベルコパワー真岡発電所
2019年に運転を開始した栃木県真岡市にあるLNG火力発電所です。神戸製鋼所の子会社の発電所ですが、発電した電力を15年にわたりすべて東京ガスが買い取ることが公表されています。
この発電所が特徴的なのが、その立地です。通常、火力発電所は冷却用水を確保したり、あるいは燃料の搬入の観点から「海沿い」に建設されます。ですが栃木県には海はありません。真岡発電所は国内初の「内陸型発電所」とされています。
内陸に立地していることで、津波リスクが無い点などがメリットとして指摘できます。なお、発電所の燃料は東京ガスのガス管を通じて都市ガスとして供給されている点も特徴的であると言えます。
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