東急でんきが値上げ。東電より割高になる【料金高騰】

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東急でんきの「2度の」値上げを分かりやすく解説します。


 東急でんきが二度の値上げを実施します。値上げにより、多くの契約者は東電の従量電灯Bプラン(標準プラン)よりも割高になる恐れがあります。この値上げについて、電力自由化の専門家として新聞や週刊誌の取材を受けてきた私が分かりやすく解説します。



2022年秋に「こっそり」値上げした東急でんき


 東急でんきが値上げを「こっそり」発表しました。


2022年7月21日付でこっそり発表


 公式サイト上では2022年7月21日付で「電気需給約款【低圧】改定に関わる重要なお知らせ」というタイトルで発表されています。


 内容を見ても「燃料費調整額の算定方法を変更致します。」としか記載が無く、また電気料金への具体的な影響なども記載されていないため、読み飛ばしてしまっている契約者が少なくないのではないでしょうか。


 実は私自身、自宅で東急でんきを契約していた(〜2022年8月24日)ためマイページ等も確認していますが、利用者に対して適切な情報提供が行われていないと言わざるをえない情報提供の仕方をしていると感じます。東急パワーサプライは消費者に対し適切な情報提供を行って頂きたいです。あの内容では「値上げ」であることが分かりません。


2022年9月分の請求から適用


 この料金改定は「2022年9月分のご請求から適用」とされています。


 9月分とは、9月中に実施される「検針日」までの1ヶ月分を指すので、8・9月に使った分の電気代と言い換えることが出来ます。


 発表のタイミングから適用までの期間が短すぎます。


値上げの影響は?東電より割高になる


 値上げの具体的な影響を解説します。


燃料費調整に上限が無くなる


 今回、東急でんきは燃料費調整の上限を撤廃します。


 燃料費調整とは、燃料の輸入価格の変動を毎月の電気料金に転嫁する制度です。この計算方法は東急でんきを含め、多くの新電力は東京電力と同じものを利用しています。


 東京電力エナジーパートナーの「従量電灯」には燃料費調整に上限があります。そのため燃料価格の異常な高騰が起きた場合、燃料費調整は一定以上になると上昇が止まります。ちなみに、東電では2022年9月分からその上限に達します。


燃料費調整の上限ありと無しの単価比較


 東急でんきもこれまでは東電の従量電灯と同様に上限を設けていましたが、今回の料金改定によりその上限を撤廃します。上限に到達するのと同じタイミングで上限を撤廃します。


 ちなみに、東京電力の「スタンダードプラン」や、東京ガスなど多くの新電力には最初からこの上限がありません。


東電従量電灯Bよりも割高になる


 東急でんきは東京電力の従量電灯と比べて2%前後安くなる料金プランを提供していました。以下は燃料費調整を含めずに世帯人数別の平均使用量で東京電力の従量電灯Bと料金比較したものです。


シュミレーション条件
お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
電気のみ 調整中
料金試算で確認
調整中
料金試算で確認
調整中
料金試算で確認
調整中
料金試算で確認
セット割引 調整中
料金試算で確認
調整中
料金試算で確認
調整中
料金試算で確認
調整中
料金試算で確認

 東電従量電灯Bより安くなる料金設定でしたが、燃料費調整の上限が無くなることにより、今後は一時的に東電の従量電灯Bよりも割高になります。


 2022年9月分の燃料費調整単価を含めて試算すると、例えば30A契約で月300kWhを使う場合は1ヶ月で300円程度、東急でんきが割高になります(電気のみの契約の場合) 22年10月分は更に燃料費調整単価の上昇が見込まれるため、東急でんきが更に高くなります。


 2022年9月分燃料費調整単価では、30A契約で月の使用量が130kWhを下回る場合、セット割引の適用状況によっては東急でんきが東電よりも安い結果となっていますが、東急でんきの多くの契約者は東電従量電灯より割高になることが避けられないと言えます。


2023年春の再値上げ


 2023年3月分から「再値上げ」することが2023年2月に発表されました。この値上げについて解説します。


料金改定の内容


 2023年3月使用分から料金改定を行います。主な変更点は以下のとおり。



 基本料金や電力料金の単価を値上げすることに加え、日本卸電力取引所での電力取引価格の変動を転嫁する市場連動型プラン(他社では「電源調達調整費」と呼ばれる仕組み)に移行します。


電気代はいくらになるの?


 30A契約、月300kWhを使用するケースで電気代をシミュレーションします。2023年2月分の燃料費調整単価を含めた試算です(調整項Bと再エネ賦課金、各種割引は含まない 燃料費調整単価は東急現行を13.04円、東急値上げ後を12.71円、東電値上げ後を0.27円、東電現行を5.13円とした)


電気代(月)
東急値上げ前 11832円
東急値上げ後
(2023年3月〜)
14178円
東電従量電灯現行料金 9549円
東電従量電灯値上げ申請料金
(2023年6月頃〜)
12759円

 この記事の前半で解説した2022年秋の値上げの時点で東電より約24%高くなっていますが、値上げによって現行の料金より更に約20%値上がりすることになります。


 更に、東電は2023年6月頃に値上げを予定していますが、東電が経産省に届け出た値上げ後の料金とくらべても、東急でんきは10%以上高いことになります。


 なお、上記の試算には新たに追加された「調整項B」を含めていないため、電力取引価格が高騰した場合は東急でんきの電気代が更に高く、電力取引価格が下落した場合は安くなる可能性があります。


契約者が取るべき対処方法は


 燃料費調整に上限を設定している他社の料金プランへの切り替えを推奨します。


 このタイミングで切り替えるのであれば、東京電力の「従量電灯」への切り替えがおすすめです。2023年6月に値上げが予定されていますが、値上げされても東急でんきより安く使える可能性が大きいです。


 オール電化については、東電でも新電力でも燃料費調整に上限が無い(東急でんきは以前設けていたが撤廃済み)ので、CDエナジーのオール電化プラン「スマートでんき」がおすすめです。東電の「スマートライフ」より1%安いです。東急でんきのような市場連動型プランではありません。




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