UI銀行が電気の販売を開始へ?メリット・デメリット

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UI銀行が電力の販売に参入を検討


 2022年にサービスを開始したUI銀行が、電力の販売を検討していることが報じられました。その背景や、今後の展望を解説します。



UI銀行がサービスを開始


 まずはUI銀行の概要と特徴を紹介します。


きらぼし銀行が始めたネット専業銀行


きらぼし銀行の店舗

きらぼし銀行の店舗

 UI銀行は2022年1月にサービスを開始した新しいネット銀行です。


 東京都周辺を地盤とする「きらぼし銀行」の持株会社である東京きらぼしフィナンシャルグループが100%出資して設立されました。


 地方銀行がネット銀行を新たに設立する動きが全国的に高まりを見せており、きらぼし銀行もその流れに乗った形です。ちなみに、きらぼし銀行は東京都民銀行と八千代銀行、新銀行東京の3行が合流して出来た銀行です。いずれもルーツは東京都内が地盤の銀行なので、「東京の地銀」と言えます。


高金利・安い手数料が魅力


 UI銀行は、きらぼし銀行や大手銀行と比較してもちろんのこと、既存のネット銀行と比較しても預金金利が高金利、かつATMや振込手数料が割安に設定されています。


 まずは預金金利を比較します(2022年1月20日現在の金利)


銀行名 年利
UI銀行 普通:0.1%
6ヶ月定期:0.12%
1年定期:0.3%(キャンペーン)
三菱UFJ銀行 普通:0.001%
6ヶ月定期:0.002%
1年定期:0.002%
きらぼし銀行 普通:0.001%
6ヶ月定期:0.001%
1年定期:0.001%
住信SBIネット銀行 普通:0.01%
6ヶ月定期:0.02%
1年定期:0.02%
楽天銀行 普通:0.02%
6ヶ月定期:0.02%
1年定期:0.02%
Paypay銀行 普通:0.001%
6ヶ月定期:0.02%
1年定期:0.02%

 オープン記念のキャンペーン金利で0.3%、非キャンペーン金利でも0.12%と他のネット銀行と比較しても大幅に高く設定されています。改悪が発表された楽天銀行マネーブリッジの0.1%と比較しても高い利率です。


 手数料についても、ATM出金手数料は月1回以上無料、入金は何度でも無料、他行宛振込手数料も月2回以上無料と、楽天銀行などネット銀行と比較しても割安と言えます。きらぼし銀行のATMのほか、セブン銀行ATMも利用できるので都内・東京近郊だけでなく全国で便利に使うことが出来るでしょう。


電気の販売を検討との報道も


 UI銀行は電力の販売を検討していることが報じられています。その背景にある事情した上で、今後の動向を予想します。


日経が報道 「UI銀行でんき」が登場?


 UI銀行は電気の販売を検討しているようです。UI銀行の開業を伝える記事の中で、日経がこのように紹介しています。


UI銀行は今後、電気やガス、小売、ヘルスケアと連携した非金融サービスの提供も目指す。

引用元:東京きらぼしが専業開業(日本経済新聞 2022年1月18日朝刊9面)

なぜ銀行が「電気」を売るのか


 預金やローン、保険や投資信託といった金融商品の販売を行う銀行が、なぜ電気の販売を検討しているのか、疑問を持つ人も少なくないかもしれません。


 現在、日本では金利水準を低く抑える金融政策が長期化しています。この低金利政策は、きらぼし銀行のような地銀に特に大きなダメージを与えています。


 銀行は預金者から集めた預金を、融資やカードローンで貸し出します。その際の利率の「差」が銀行にとっての「儲け」となりますが、低金利政策下ではこの金利差が小さくなる傾向があり、結果として銀行経営に深刻なダメージをもたらしています。


 2022年現在、アメリカや欧州では既に低金利政策の解消に向けて動き始めているところですが、日本では低金利政策の継続が長期化することが見込まれています。銀行、特に海外での営業基盤が乏しい地方銀行は旧来のビジネスモデルだけではやがて立ち行かなくなると危惧されており、新たな収益源として電力の販売が検討されているのでしょう。


今後の展望は


 UI銀行が電気の販売を開始した場合、おそらく他社と提携し、他社のサービスを媒介もしくは代理店として販売する形を取るのではないかと予想します。


 2021〜22年にかけて、電力の取引価格の高騰が続いており、多くの新電力が深刻な苦境に陥っています。取引価格高騰は今後も少なくとも数年先まで解消される見込みは低く、UI銀行が仮に自社で電力小売に参入した場合、利益を得るどころか損失が発生するリスクが小さくありません。


 そこで「UI銀行でんき Powerd by○○」といった形で他社サービスを販売することで、リスクを最小限に抑えつつ利益を確保するといった戦略が取られる可能性があります。


 UI銀行が電気を販売するにあたって、メリットとしては「決済」の部分に強みがある点が指摘できます。電気代の支払いはクレジットカードもしくは口座振替が一般的ですが、顧客が電力会社に申込みをする際にカード番号などの情報の入力が必要となります(場合によっては書類を郵送で送付する必要も) UI銀行が電気の販売を開始した場合、電気代の支払いをUI銀行の口座に限定することで支払い情報の入力手順を無くすことが出来る可能性があり、よりスムーズな申込みが可能となるでしょう。


CDエナジーのクレジットカード登録用紙

CDエナジーのカード払い申込書(郵送での手続きが必要)

 それに加え、手数料面でも有利です。他の新電力・大手電力は顧客から電気代の支払いを受けるために、決済会社や口座振替を行う銀行に手数料を支払っています。UI銀行は銀行なので、支払いをUI銀行の口座に限定すればそうした外部に支払う手数料も削減することが出来ます。魅力的な料金水準の設定が期待したいです。




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