0円でんきが値上げへ。契約者の対処方法まとめ

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値上げする0円でんき


 0円でんきが2022年8月1日利用分から料金を値上げすることを発表しました。契約者が取るべき対処方法や、乗り換え先としておすすめの電力会社を紹介します。



0円でんきとは


 北海道を中心にガソリンスタンドやスポーツジムのフランチャイズなどを営むオカモトが提供している新電力サービスです。基本料金0円、一段階の電力量料金単価と分かりやすい料金体系が特徴で、主にファミリー世帯で新電力の中で最安水準となる料金プランを提供していました。


0円でんきが値上げする理由・背景


 0円でんきが値上げする背景にある事情を解説します。


電力取引価格の大幅な高騰が背景に


 日本では2021年秋頃から電力の取引価格が高騰しています。以下は卸電力取引所の電力取引価格の月平均価格です(東京電力エリア向けの取引価格 単位:円/kWh)


11月 12月 1月 2月 3月
19年度 9.03円 8.71円 8.17円 7.59円 7.48円
20年度 5.35円 14.35円 66.53円 8.29円 6.70円
21年度 17.59円 18.04円 23.95円 23.36円 30.76円

 通常、卸電力取引所の取引価格は平均で8〜9円程度と言われていますが、2021年秋から平均的な水準の2倍以上の価格で推移しています。


 取引価格高騰の原因はLNG(液化天然ガス)や石炭価格の大幅な高騰と、電力需給の逼迫が要因として挙げられます。2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻により一層取引価格が高くなったのも事実ですが、侵攻前から既に高騰が起きていました。


 燃料価格の高止まりが続いている上、2022年夏そして2023年1・2月にもきわめて深刻な電力不足が予想されており、再び電力取引価格の大幅な高騰が起こることが懸念されています。


新電力の値上げ・事業撤退が相次いでいる


 現在の取引価格の水準では、ほとんどの新電力が赤字になる水準です。また、2022年冬(2023年1・2月)にも電力需給の深刻な逼迫が起きることが予測されており、「次の冬」にも大幅な電力取引価格高騰が起こる見通しです。


 それを受けて0円でんきと同じように値上げや、新電力事業から撤退する会社が相次いでいます。



 今後も値上げや事業終了に追い込まれる新電力は相次ぐことは避けられない情勢です。


値上げ後の料金単価での料金シミュレーション


 2022年6月6日に発表された、「値上げ後」の料金単価をもとに、世帯人数ごとの平均使用量で大手電力の標準メニューと料金を比較します。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
東京電力エリア
ファミリー向け
+4.4%
+2272円
-3.4%
-3899円
-7.2%
-9534円
-10.0%
-15323円
中部電力エリア
ファミリー向け
+2.3%
+1184円
-2.0%
-2259円
-5.2%
-6805円
-7.7%
-11430円
北陸電力エリア
ファミリー向け
-2.9%
-1287円
-6.7%
-6308円
-9.4%
-10368円
-11.5%
-14508円
関西電力エリア
ファミリー向け
+0.9%
+383円
-8.5%
-8622円
-10.2%
-11925円
-11.7%
-15458円
中国電力エリア
ファミリー向け
+6.2%
+2901円
-4.7%
-5026円
-6.4%
-7740円
-7.7%
-10643円
四国電力エリア
ファミリー向け
+3.8%
+1797円
-5.6%
-5970円
-7.4%
-9169円
-9.0%
-12591円
九州電力エリア
ファミリー向け
+3.1%
+1425円
-3.3%
-3353円
-7.1%
-8341円
-9.9%
-13429円

お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
東京電力エリア
ファミリー向け
+10.7%
+5475円
+2.3%
+2656円
-1.6%
-2168円
-4.6%
-7090円
中部電力エリア
ファミリー向け
+7.9%
+4142円
+3.4%
+3795円
0%
-2円
-2.6%
-3826円
北陸電力エリア
ファミリー向け
+7.2%
+3200円
+3.0%
+2878円
-0%
-46円
-2.4%
-2972円
関西電力エリア
ファミリー向け
+1.3%
+587円
-8.1%
-8205円
-9.8%
-11456円
-11.3%
-14933円
中国電力エリア
ファミリー向け
+6.2%
+2901円
-4.7%
-5026円
-6.4%
-7740円
-7.7%
-10643円
四国電力エリア
ファミリー向け
+3.8%
+1797円
-5.6%
-5970円
-7.4%
-9169円
-9.0%
-12591円
九州電力エリア
ファミリー向け
+10.6%
+4893円
+3.7%
+3745円
-0.3%
-365円
-3.3%
-4514円

 中国・四国エリアは料金単価が据え置き、関西についても0.4%と小幅な値上げに留まる一方、北陸では10.4%と大幅に値上げされています。


 関西、中国、四国エリアでは引き続きファミリー世帯の平均使用量で「最安水準」を維持しています。


契約者が取るべき対処方法は


 0円でんき契約者は何をすべきか。対処方法を解説します。


大手電力よりも「高くなる」なら他社への切り替えを


 0円でんきの値上げ後の料金が、引き続き大手電力の標準メニューよりも「割安」である場合は、当面は0円でんきを使い続けるのがおすすめです。他社の値上げや事業撤退はまだ一巡していないため、「安いから」という理由で他社に切り替えると再び値上げに巻き込まれるリスクがあります。
 料金単価が据え置かれた中国・四国、値上げ幅が小幅だった関西以外にお住まいの場合は、引き続き0円でんきの利用を継続する方がよいでしょう。


 一方、値上げ後の料金が大手電力標準メニューよりも割高となる場合は、速やかに他の割安な新電力や、大手電力への切り替えを推奨します。


確実に確認しておくべき点(必読)


 この記事の他の内容は全て読み飛ばして構わないので、これだけは覚えた上でこの記事を閉じてください。


 2022年現在、ほとんどの新電力が厳しい経営を強いられており、様々な形で「値上げ」をするところが増えつつあります。


 利用者にしっかりと告知し、一定の猶予期間をもった上で料金単価を引き上げるのであればまだ「仕方ない」と言えますが、中には利用者に分かりづらい形で実質的にかなり大幅な値上げをするところも出てきています。


 「卸電力取引所」の「取引価格」を電気料金に反映する仕組みを取り入れている、あるいは今後取り入れる新電力にはくれぐれも注意してください。卸電力取引所の取引価格を反映する料金体系だと、電気代が大手電力の2倍以上になる恐れがあります。


高騰した2020年12月25日〜21年1月7日の取引価格(東京エリア)

 まだこのような料金プランは少数ですが、少しずつ増えてきているので注意してください。当サイトではこのような料金体系のプランについて「料金高騰リスクあり」「料金変動リスクがある」と表記しています。契約後の約款の変更にも注意が必要です。


地域別料金比較


 新規申込みが可能な主な新電力の料金と、0円でんきの値上げ後の料金を比較します(大手電力標準メニューとの世帯人数ごとの平均使用量での年間料金比較) 現時点で卸電力取引所の取引価格を反映しない料金プランのみを掲載しています。


東京電力エリア


 東京電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+10.7%
+5475円
+2.3%
+2656円
-1.6%
-2168円
-4.6%
-7090円
下町でんき
下町電灯B
20A契約不可 -5.0%
-5682円
-5.0%
-6638円
-5.0%
-7648円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2520円 -4320円 -7440円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -4.5%
-5169円
-4.5%
-6043円
-4.5%
-6965円

中部電力エリア


 中部電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+7.9%
+4142円
+3.4%
+3795円
0%
-2円
-2.6%
-3826円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -4.5%
-5095円
-4.5%
-5918円
-4.5%
-6789円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -1440円 -1920円 -2160円

北陸電力エリア


 北陸電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+7.2%
+3200円
+3.0%
+2878円
-0%
-46円
-2.4%
-2972円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -2.7%
-2586円
-4.5%
-4993円
-4.5%
-5713円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2280円 -2760円 -5400円

関西電力エリア


 関西電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+1.3%
+587円
-8.1%
-8205円
-9.8%
-11456円
-11.3%
-14933円
コスモでんき
スタンダード
0円 -2640円 -5160円 -6120円
コスモでんき
ポイントプラス
-0.9%
-410円
-2.7%
-2775円
-4.5%
-5298円
-4.5%
-6018円

 引き続き0円でんきが割安です。


中国電力エリア


 中国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+6.2%
+2901円
-4.7%
-5026円
-6.4%
-7740円
-7.7%
-10643円
コスモでんき
ポイントプラス
-0.9%
-424円
-4.5%
-4841円
-4.5%
-5534円
-4.5%
-6276円
コスモでんき
スタンダード
0%
0円
-2760円 -5040円 -5760円

 引き続き0円でんきが割安です。


四国電力エリア


 四国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
月170kWh
2人
月348kWh
3人
月391kWh
4人
月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+3.8%
+1797円
-5.6%
-5970円
-7.4%
-9169円
-9.0%
-12591円
コスモでんき
ポイントプラス
-0.9%
-434円
-4.5%
-4884円
-4.5%
-5599円
-4.5%
-6364円
コスモでんき
スタンダード
0%
0円
-2520円 -5040円 -5880円

 引き続き0円でんきが割安です。


九州電力エリア


 九州電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。


お得率と年間節約額
1人
20A / 月170kWh
2人
30A / 月348kWh
3人
40A / 月391kWh
4人
50A / 月437kWh
0円でんき
ファミリー向け
+10.6%
+4893円
+3.7%
+3745円
-0.3%
-365円
-3.3%
-4514円
コスモでんき
スタンダード
20A契約不可 -2520円 -4320円 -6840円
コスモでんき
ポイントプラス
20A契約不可 -2.7%
-2745円
-4.5%
-5348円
-4.5%
-6164円



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