値上げする0円でんき
0円でんきが2022年8月1日利用分から料金を値上げすることを発表しました。契約者が取るべき対処方法や、乗り換え先としておすすめの電力会社を紹介します。
この記事の著者:石井元晴
2014年から当サイトを運営。産経新聞、週刊女性自身、週刊ポスト、女性セブンなど数々のメディアに電力自由化の専門家として取材を受けてきました。400社以上の料金プランに目を通しています。
0円でんきとは
北海道を中心にガソリンスタンドやスポーツジムのフランチャイズなどを営むオカモトが提供している新電力サービスです。基本料金0円、一段階の電力量料金単価と分かりやすい料金体系が特徴で、主にファミリー世帯で新電力の中で最安水準となる料金プランを提供していました。
0円でんきが値上げする理由・背景
0円でんきが値上げする背景にある事情を解説します。
電力取引価格の大幅な高騰が背景に
日本では2021年秋頃から電力の取引価格が高騰しています。以下は卸電力取引所の電力取引価格の月平均価格です(東京電力エリア向けの取引価格 単位:円/kWh)
|
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
19年度 |
9.03円 |
8.71円 |
8.17円 |
7.59円 |
7.48円 |
20年度 |
5.35円 |
14.35円 |
66.53円 |
8.29円 |
6.70円 |
21年度 |
17.59円 |
18.04円 |
23.95円 |
23.36円 |
30.76円 |
通常、卸電力取引所の取引価格は平均で8〜9円程度と言われていますが、2021年秋から平均的な水準の2倍以上の価格で推移しています。
取引価格高騰の原因はLNG(液化天然ガス)や石炭価格の大幅な高騰と、電力需給の逼迫が要因として挙げられます。2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻により一層取引価格が高くなったのも事実ですが、侵攻前から既に高騰が起きていました。
燃料価格の高止まりが続いている上、2022年夏そして2023年1・2月にもきわめて深刻な電力不足が予想されており、再び電力取引価格の大幅な高騰が起こることが懸念されています。
新電力の値上げ・事業撤退が相次いでいる
現在の取引価格の水準では、ほとんどの新電力が赤字になる水準です。また、2022年冬(2023年1・2月)にも電力需給の深刻な逼迫が起きることが予測されており、「次の冬」にも大幅な電力取引価格高騰が起こる見通しです。
それを受けて0円でんきと同じように値上げや、新電力事業から撤退する会社が相次いでいます。
今後も値上げや事業終了に追い込まれる新電力は相次ぐことは避けられない情勢です。
値上げ後の料金単価での料金シミュレーション
2022年6月6日に発表された、「値上げ後」の料金単価をもとに、世帯人数ごとの平均使用量で大手電力の標準メニューと料金を比較します。
契約者が取るべき対処方法は
0円でんき契約者は何をすべきか。対処方法を解説します。
大手電力よりも「高くなる」なら他社への切り替えを
0円でんきの値上げ後の料金が、引き続き大手電力の標準メニューよりも「割安」である場合は、当面は0円でんきを使い続けるのがおすすめです。他社の値上げや事業撤退はまだ一巡していないため、「安いから」という理由で他社に切り替えると再び値上げに巻き込まれるリスクがあります。
料金単価が据え置かれた中国・四国、値上げ幅が小幅だった関西以外にお住まいの場合は、引き続き0円でんきの利用を継続する方がよいでしょう。
一方、値上げ後の料金が大手電力標準メニューよりも割高となる場合は、速やかに他の割安な新電力や、大手電力への切り替えを推奨します。
確実に確認しておくべき点(必読)
この記事の他の内容は全て読み飛ばして構わないので、これだけは覚えた上でこの記事を閉じてください。
2022年現在、ほとんどの新電力が厳しい経営を強いられており、様々な形で「値上げ」をするところが増えつつあります。
利用者にしっかりと告知し、一定の猶予期間をもった上で料金単価を引き上げるのであればまだ「仕方ない」と言えますが、中には利用者に分かりづらい形で実質的にかなり大幅な値上げをするところも出てきています。
「卸電力取引所」の「取引価格」を電気料金に反映する仕組みを取り入れている、あるいは今後取り入れる新電力にはくれぐれも注意してください。卸電力取引所の取引価格を反映する料金体系だと、電気代が大手電力の2倍以上になる恐れがあります。

高騰した2020年12月25日〜21年1月7日の取引価格(東京エリア)
まだこのような料金プランは少数ですが、少しずつ増えてきているので注意してください。当サイトではこのような料金体系のプランについて「料金高騰リスクあり」「料金変動リスクがある」と表記しています。契約後の約款の変更にも注意が必要です。
地域別料金比較
新規申込みが可能な主な新電力の料金と、0円でんきの値上げ後の料金を比較します(大手電力標準メニューとの世帯人数ごとの平均使用量での年間料金比較) 現時点で卸電力取引所の取引価格を反映しない料金プランのみを掲載しています。
東京電力エリア
東京電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 |
1人 20A / 月170kWh |
2人 30A / 月348kWh |
3人 40A / 月391kWh |
4人 50A / 月437kWh |
0円でんき ファミリー向け |
+10.7% +5475円 |
+2.3% +2656円 |
-1.6% -2168円 |
-4.6% -7090円 |
CDエナジー ファミリーでんき |
20A契約不可 |
-5.2% -5920円 |
-6.7% -8936円 |
-7.9% -12144円 |
CDエナジー ベーシックでんき |
-3.3% -1692円 |
-5.7% -6483円 |
-6.8% -9033円 |
-7.7% -11744円 |
東京ガス 基本プラン/ガスセット |
-3.5% -1812円 |
-5.8% -6626円 |
-6.5% -8614円 |
-7.0% -10736円 |
東京ガス 基本プラン/電気単独 |
-3.1% -1565円 |
-5.4% -6091円 |
-6.0% -7993円 |
-6.5% -10025円 |
ドコモでんき Basic
|
-2.7% -1402円 |
-2.7% -3104円 |
-2.7% -3629円 |
-2.7% -4183円 |
東京ガス さすてな電気 |
0% 0円 |
0% 0円 |
0% 0円 |
0% 0円 |
中部電力エリア
中部電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
北陸電力エリア
北陸電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 |
1人 20A / 月170kWh |
2人 30A / 月348kWh |
3人 40A / 月391kWh |
4人 50A / 月437kWh |
0円でんき ファミリー向け |
+7.2% +3200円 |
+3.0% +2878円 |
-0% -46円 |
-2.4% -2972円 |
ENEOSでんき 北陸Bプラン |
-2.1% -946円 |
-3.6% -3417円 |
-4.0% -4396円 |
-4.3% -5441円 |
ドコモでんき Basic
|
-2.7% -1215円 |
-2.7% -2589円 |
-2.7% -2998円 |
-2.7% -3431円 |
出光興産 Sプラン |
-0.9% -398円 |
-2.1% -2011円 |
-2.3% -2547円 |
-2.5% -3121円 |
関西電力エリア
関西電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。
お得率と年間節約額 |
1人 月170kWh |
2人 月348kWh |
3人 月391kWh |
4人 月437kWh |
0円でんき ファミリー向け |
+1.3% +587円 |
-8.1% -8205円 |
-9.8% -11456円 |
-11.3% -14933円 |
奈良電力 ならでん電灯A
|
+0.6% +248円 |
-7.0% -7144円 |
-8.0% -9368円 |
-8.9% -11747円 |
大阪ガス スタイルプランd
|
-1.0% -428円 |
-4.6% -4663円 |
-4.6% -5341円 |
-4.6% -6066円 |
大阪ガス ガスとのセット割
|
-2.6% -1158円 |
-4.5% -4610円 |
-4.4% -5122円 |
-4.2% -5602円 |
ドコモでんき Basic
|
-2.7% -1231円 |
-2.7% -2777円 |
-2.7% -3182円 |
-2.7% -3614円 |
引き続き0円でんきが割安です。
中国電力エリア
中国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。
お得率と年間節約額 |
1人 月170kWh |
2人 月348kWh |
3人 月391kWh |
4人 月437kWh |
0円でんき ファミリー向け |
+6.2% +2901円 |
-4.7% -5026円 |
-6.4% -7740円 |
-7.7% -10643円 |
ENEOSでんき 中国Aプラン |
-2.3% -1075円 |
-3.8% -4073円 |
-4.3% -5217円 |
-4.7% -6441円 |
ドコモでんき Basic
|
-2.7% -1274円 |
-2.7% -2907円 |
-2.7% -3323円 |
-2.7% -3769円 |
ソフトバンクでんき おうちでんき従量電灯A |
-3.8% -1752円 |
-2.2% -2362円 |
-2.1% -2517円 |
-1.9% -2682円 |
引き続き0円でんきが割安です。
四国電力エリア
四国電力の標準メニュー(従量電灯A)との料金比較です。
お得率と年間節約額 |
1人 月170kWh |
2人 月348kWh |
3人 月391kWh |
4人 月437kWh |
0円でんき ファミリー向け |
+3.8% +1797円 |
-5.6% -5970円 |
-7.4% -9169円 |
-9.0% -12591円 |
ENEOSでんき 四国Aプラン |
-1.9% -890円 |
-4.0% -4334円 |
-4.7% -5742円 |
-5.2% -7249円 |
ドコモでんき Basic
|
-2.7% -1304円 |
-2.7% -2933円 |
-2.7% -3362円 |
-2.7% -3822円 |
ソフトバンクでんき おうちでんき従量電灯A |
-3.7% -1761円 |
-2.2% -2370円 |
-2.1% -2530円 |
-1.9% -2701円 |
引き続き0円でんきが割安です。
九州電力エリア
九州電力の標準メニュー(従量電灯B)との料金比較です。
お得率と年間節約額 |
1人 20A / 月170kWh |
2人 30A / 月348kWh |
3人 40A / 月391kWh |
4人 50A / 月437kWh |
0円でんき ファミリー向け |
+10.6% +4893円 |
+3.7% +3745円 |
-0.3% -365円 |
-3.3% -4514円 |
ENEOSでんき 九州Aプラン |
-2.1% -972円 |
-3.7% -3699円 |
-4.1% -4857円 |
-4.5% -6095円 |
auでんき |
-1.0% -443円 |
-4.6% -4625円 |
-4.6% -5408円 |
-4.6% -6235円 |
ドコモでんき Basic
|
-2.7% -1258円 |
-2.7% -2747円 |
-2.7% -3212円 |
-2.7% -3702円 |
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