熊本電力(熊本市)は契約者に対し、他社への「契約継承」を打診した。
筆者が熊本電力より19日に郵送で受領した書面によると、同社は資源価格高騰の影響による電力卸価格高騰により「大変厳しい経営を強いられて」おり、送配電事業者と「支払の猶予の交渉」を進めていた。しかし東京電力、九州電力その他数社より「契約を解約する意向の打診」を受けたとしている。
既報のとおり、筆者は東京電力パワーグリッドから17日に受けた電話の中で、東京電力PGと熊本電力間の託送供給契約が既に「消滅」した旨の説明を受けており、今回の熊本電力側の説明の内容とも合致している(関連ニュース:熊本電力契約者に対し送電会社が送電停止を予告)
熊本電力は「需要家の皆様への負担にならない対策」として、株式会社シグナストラスト(東京・目黒)が運営するエビス電力へ契約を継承する方針を決定したと説明している。エビス電力側は既存の熊本電力と「同一の従量料金単価」の「くま電プラン」を提供するとしており、郵送された書面には料金表が同封されていた。
この契約継承に承諾しない場合、21日までに意思表示をするよう熊本電力が求めている。21日までに意思の表示が行われない場合、エビス電力に契約が継承されるものと説明しているが筆者が書面を受領したのは19日のことである。熊本電力側の一方的な都合による期限設定であることは否めない。
また、エビス電力で提供される「くま電プラン」は熊本電力と「同一の従量料金単価」である旨の説明がなされているが、今回受領した書面に記載された燃料費調整単価は熊本電力と異なった。
燃料費調整単価(東京) | 熊本電力 | エビス電力 | (参考)東京電力EP |
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2022年4月度 | 2.27円/kWh | 8.77円/kWh | 2.27円/kWh |
月300kWhを使用した場合、22年4月単月でエビス電力「くま電プラン」は熊本電力「おうち電気B」と比較して1950円割高となる計算だ。燃料費調整単価の詳細な計算方法は明示されていないが、エビス電力に移行した場合、熊本電力よりも料金が割高になる恐れがあるだけでなく、東京電力EPの従量電灯Bと比較しても料金が割高となるユーザーが少なくないとみられる。
エビス電力「くま電プラン」は当サイトの電気料金一括シミュレーションに掲載済み。