一部の新電力が2024年春に電気料金を値上げする方針を表明している。2024年4月に容量拠出金の負担が始まることを受けた対応だ。
容量拠出金は2020年に導入された「容量市場」に伴う費用負担。容量市場は電力供給の安定化を図るため、将来の電力供給能力に対して費用を支払う制度。発電所を保有する企業に対し、将来の発電能力に応じた費用を支払うことで発電所の維持を目指す。電力量(kWh)を取り引きする卸電力市場とは異なる。
容量市場が導入されたのは2020年だが、同市場では4年後の発電能力を取り引きするため、2024年4月から費用負担がスタートする。容量市場制度では容量拠出金として、新電力を含む小売各社が費用を負担する。
容量拠出金の負担開始にあわせて、電気料金の値上げを予告する新電力が現れている。サーラeエナジー(愛知・豊橋)は来春の電気料金引き上げを予告した。値上げ幅は同社が示す標準ケースで2.7%(中部エリア)としている。アストマックス・エネルギー(東京・品川)も来春の値上げを予告しており、値上げ幅が最も大きい中部エリアの30A契約では月4320円の値上げになる見通しを示している。
2023年6月に料金改定を実施した大手電力各社の多くは、料金改定に際し容量拠出金を織り込んだ料金算定を行っており、来春以降の電気料金への影響は限定的とみられる。今後、新電力を中心に値上げ予告が相次ぐ可能性がある。