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日本の深刻な電力不足はいつまで続くの?緩和する見通しは

深刻化する日本の電力不足。では、電力不足はいつまで深刻な状況が続くのでしょうか。今後の見通しをふまえて解説します。

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深刻化する日本の電力不足

2022年夏の電力不足

2022年6月末から連日のように「電力需給ひっ迫注意報」や同警報が発令され、政府や電力会社が国民に節電を呼びかけています。

特に東京電力管内の需給がひっ迫しており、首都圏の経済活動への悪影響が懸念されています。

より深刻な2023年1・2月

出典:2022年度の電力需給見通しと対策について(資源エネルギー庁)

2022年5月時点で資源エネルギー庁が出した見通しによれば、2022年夏の電力の予備率(需要量に対する供給量の余裕を示す数字)は東京電力管内で3.1%と、安定的な供給に最低限必要とされる3%の水準を満たしていました(予備率3%という水準は発電所の突発的な停止などに備えた水準です)

ですが2023年1・2月の需要ピーク時の予備率は-0.5%と、安定的な供給に必要な水準はおろか需要を十分に満たせる供給量を確保することが出来ない見通しです。

2023年1・2月は文字通り「電気が足りない」見通しであり、2022年夏よりも更により一層深刻な状況と言え、計画停電の実施も取り沙汰されれている状況です。

深刻な電力不足はいつ解消・緩和するのか

このような深刻な電力はいつ解消、緩和するのか。見通しを解説します。

主な発電所の新規稼働・再稼働の計画

発電所稼働時期発電容量
島根原子力発電所2号機(島根)2023年春以降82.5万kW
女川原子力発電所2号機(宮城)2024年2月以降82万kW
西条発電所(愛媛)2023年50万kW
姉崎火力発電所新1~3号機(千葉)2023年195万kW
横須賀火力発電所(神奈川)2023年~130万kW
五井火力発電所(千葉)2024年度234万kW

上記は今後数年で計画されている主な発電所の新規稼働・再稼働の計画です。

2023年から24年度にかけて、大規模な火力発電所・原子力発電所の稼働が計画されています(姉崎火力は2022年夏から順次試運転を開始予定)

2023年1・2月が大きな山場、それ以降は・・

今後、火力発電所の新規稼働や原子力発電所の再稼働が計画されているにせよ、2023年1・2月の深刻な電力不足の回避には間に合わない公算が大きいです。

ですが岸田首相も原子力発電所の再稼働を順次進めていく方針を示しており、また国民の間でも原子力発電所再稼働を容認する機運が高まっているため、2023年1・2月の大きな山場を乗り越えることが出来れば、その後は深刻な状況を脱することが出来るのではないでしょうか。少なくとも2023年夏は2022年夏ほど深刻な状況にはならないはずです(大きな地震で発電所が損傷を受ける事態などが発生しなければ)

ただし、2023年1・2月の東日本での電力事情は非常に危機的な状況であり、現状では計画停電の実施も避けられない情勢です。2024年1・2月についても、新規制基準に適合した原子力発電所の再稼働が進まなければ引き続き状況は厳しいものとなるでしょう。

ロシアの出方次第では更に深刻化する懸念も

日本はロシアからの化石燃料の輸入を行っています。2021年度のロシア依存度は以下のとおり。

ロシア依存度
石油4%
天然ガス9%
石炭11%

ロシアは敵対する国への天然ガスの供給を、様々な理由をつけて制限しています。2022年6月中旬にはロシアからドイツへのパイプラインによる天然ガスの供給量が6割減少しました。

日本はサハリンから電力供給力の3%に相当する天然ガスの輸入を継続しており、輸出が停止される事態となれば電力事情もより一層厳しいものとなります。ロシア産の天然ガスは米国産の半額以下、ASEAN地域・中東産と比べても輸入価格が3割安い(2022年4月)ため、代替調達を行うにはコストの問題もあり難しい現実があります。

2021年1月には新型コロナの影響により十分なLNGを輸入することが出来ず、約1ヶ月にわたり電力需給のひっ迫が起こっています。燃料の輸入が滞れば発電することが出来ません。