停電対策としてポータブル蓄電池の導入を検討する時に悩みがちな「容量」の問題。どの容量のものを選べばよいのか、選び方のポイントを整理して紹介します。
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ポータブル蓄電池の容量の見方
ポータブル蓄電池の容量は「Wh」(ワットアワー)という単位で示されています。ポータブル蓄電池を比較検討する際には、この数値を見比べてください。
ちなみにWhを1000分の1単位で表示したものがkWhです。一般家庭の平均的な電気使用量は10kWh(=10000Wh)です。
1Wの電気を1時間使うと1Whになります。20Wを3時間使うと60Whです。150Whのポータブル蓄電池の場合、50Wの家電製品を3時間使えることになります(実際にはロスなどがあるため、7掛けくらいで見るのが安全)
停電対策として必要な容量は?
災害なら3日・計画停電なら2時間
停電対策を考えるには、まず実際の停電がどのように発生するのかを知る必要があります。
上記のグラフは、内閣府サイトから引用した東日本大震災時の停電の復旧割合を示したものです。資料によれば本震の発生から3日で約80%の停電が解消、8日で94%が解消されたとしています。地震のような大規模災害による停電は3日程度で復旧する、と考えてよいでしょう。
一方、計画停電の場合は基本的に「1日1回」「2時間」実施されます。2時間分の対策が必要です。
停電時に使いたい家電を整理してみよう
停電が発生した際に使いたい家電製品は何か、整理してください。必要性が高い代表的な家電製品の消費電力は以下のとおりです(一部、私が過去に実測した値)
家電製品 | 消費電力 |
---|---|
スマホの充電 | 15W以下 →1回20Wh程度 |
扇風機 | 40W以下 |
充電池の充電(単4・2本) | 5W以下 →1回9Wh程度 |
ミニホットカーペット | 20W前後 |
PCモニター(24.1インチ) | 10W以下 |
デスクトップPC本体 | 20~100W |
32型液晶テレビ | 50W以下 |
セラミックファンヒーター ハロゲンヒーター オイルヒーターなど | 700~ 1500W以下 |
冷蔵庫 | 300W以下 |
炊飯器(IH) | 1200W以下 |
炊飯器(小型・マイコン式) | 400W前後 |
電気毛布 | 60~80W |
扇風機を回しながらテレビを見る、という使い方であれば合計100W程度になります。スマホの充電は私が過去に実測した結果では、1回のフル充電で約20Whの電力消費でした。
ポータブル蓄電池でエアコンを動かすのは非常に無理があるので割愛しました。電気ストーブ系もポータブル蓄電池では最大出力をオーバーする恐れがあるので注意してください。
電気ストーブは電力消費が大きいので、停電時の暖房としては電気毛布がおすすめです。小型のポータブル蓄電池でも数時間以上連続で使用できます。
必要な容量の計算方法
計画停電の場合
家電製品のワット数×2.5=必要な蓄電池の容量(Wh)
計画停電の場合、以上の計算式で計算できます(ロスなどを考え、少し余裕をもたせた計算式です) 例えば扇風機とテレビを使いたい場合、合計約100Wなので250Whの容量が必要となります。
災害による停電の場合
家族の人数×70=最低限必要な蓄電池の容量(Wh)
3日分のスマホの充電に、若干の余裕をもたせた計算式です。
テレビを1日1時間視聴で150Wh(3日分)、扇風機を1日2時間(3日間)使用で240Whが必要となるので、ポータブル蓄電池だけでは厳しいというのが現実です。
ポータブル蓄電池を災害用に備える場合、スマホの充電とポケットラジオや懐中電灯に使うための充電池の充電程度の利用を想定するのが現実的だと思います。
容量別 おすすめのポータブル蓄電池
容量別におすすめのポータブル蓄電池を紹介します。
~300Wh
スマホを充電(10W)しながら、扇風機(40W)と32V液晶テレビ(20W)を3時間近く連続で使える容量です。デスクトップPCも3時間前後稼働できます。
商品名 | Anker 521 Portable Power Station |
処分方法 | メーカー引き取り、JBRC回収BOX |
PSE認証 | 適合 |
容量 | 256Wh |
出力 | AC 2口 200W 瞬間最大600W USB-A 2口 、USB-C シガーソケット |
私が自宅用に購入したのがAnker 521 Portable Power Stationです。Ankerはスマホのモバイルバッテリーのメーカーとして日本でも知名度のあるブランドです(中国深セン市場に上場する中国企業)
バッテリーメーカーとして一定の信頼性があること、また使用後にメーカーで商品を引き取ってくれる、JBRCの回収BOXも利用可能との回答を得られたこと、PSE認証を受けていることでこの商品を選びました。
同程度の容量で価格が1万円程度安いJackeryと悩みましたが、Ankerの方はACコンセントが2口(Jackeryは1口)である点、またJBRCの回収BOXに対応している(Jackeryはメーカー引き取りのみ可能との回答)ということでAnkerを選びました。それらの点が気にならない方にはJackeryもおすすめです。
300~600Wh
商品名 | Anker 535Portable Power Station |
処分方法 | メーカー引き取り、JBRC回収BOX |
PSE認証 | 適合 |
容量 | 512Wh |
出力 | AC 4口 500W 瞬間最大1000W USB-A 3口 、USB-C シガーソケット |
上で紹介したものと同じシリーズのポータブル蓄電池です。容量は512Whなので、200Wを約2時間(計画停電1回分)使用できる容量です。家族3人で各1枚ずつ電気毛布にくるまりながら32Vの液晶テレビを2時間視聴できます。
使用後のメーカー回収可能、JBRCの回収BOX利用可能、またPSE認証にも適合しているということでポータブル蓄電池としては無難な選択肢だと思います。