「電力自由化って、持ち家の人だけの話じゃないの?」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
目次
賃貸マンション・アパートでも「基本的には」OK
賃貸のアパートやマンションのお住まいの人でも、
基本的には電力会社を自由に選べるようになります。
ネット回線のプロバイダーをイメージしていただくと分かりやすいと思います。既にネットが開通している物件なら、プロバイダーは住民が自由に選べますよね。管理人さんや大家さんの許可を得る必要はないはずです。
電力もそれと同じで、既に敷かれている電線をそのまま使うので、大掛かりな工事は必要ありません。電線の中を通ってくる電気の出元が変わるだけなので、特に許可などは必要ありません。
経産省のサイトにも、以下のように書かれています。
Q2. 賃貸住宅に住んでいますが、電力会社の切り替えはできますか?
現在契約している電力会社との契約名義がご本人の場合は可能です。他人名義のご契約になっている場合は、その方にご確認下さい。引用元:今さら聞けない電力自由化5つの質問(経済産業省資源エネルギー庁)
メーター交換工事も大丈夫
乗り換えにあたって、最初の乗り換え時に「スマートメーター」への交換が必要になりますが、これも問題ありません。メーターは電力会社の所有物ですし、交換作業自体も日常的に行われていることなので、問題になることはまず無いです。
また、既にスマートメーターが設置されている物件では、メーター交換工事すら必要ありません。
詳細記事:新電力への乗り換えは工事が必要?
※ちなみに、2026年までに全てのメーターがスマートメーターに切り替わることになっています
大家さん・管理会社に聞きました
江戸時代からの地主で、都内で100戸以上のマンションやアパートを所有・自己管理している私の親族に話を聞きましたが、「メーターの交換なんて勝手にやっているだろう 連絡が来たことは無い」と言っていました。
また、私が暮らす賃貸マンション(前述の親族所有)でもメーター交換工事が行われましたが、大家さん・管理会社はおろか、私自身にすら一切事前連絡なく工事が行われました。
なので管理会社や大家さんの許可は不要ですし、もちろん退去時もそのままでOKです。(電気の契約は自分で解除してください) 報告も必要ありません。
どうぞ安心して乗り換えてください。
原状回復の必要も無し
メーター交換が必要、と言われると賃貸住宅の場合、退去する際に「原状回復」が必要になるのでは、と不安に感じる人もいるでしょう。
これについても、心配いりません。
電力メーターについて「原状回復」は必要ありません
メーターは次の入居者も使うものですし、そもそも電力会社(「送配電」を担当する大手電力会社)の所有物です。どの新電力と契約しても、大手電力のメーターを使う必要があります。
退去時には契約した新電力に引っ越しの手続きを取るか、解約すれば何も問題はありません。
電力会社を乗り換えられない場合もある
基本的には、賃貸マンション・アパートでも電力会社を自由に選べるようになります。しかし、いくつかの条件下では、電力会社を乗り換えることが出来ません。
一括受電契約になっている場合
大規模分譲マンションでしばしば見られるケースですが、電力自由化を前にマンション丸ごと新電力と契約しているケースがあります。こうした一括受電をしている物件では、各家庭が自由に電力会社を選ぶことができません。
一括受電の方が、戸別に新電力と契約するよりも安く場合もあるため、一概に「損をしている」とは言い切れません。ですが、特に新電力の競争が激しい関東・関西エリアで、かつファミリー世帯の方は戸別に乗り換えた方が安くなるケースも多いです。
お住まいの建物で一括受電の導入を検討している場合は、慎重に検討してください。一括受電は契約期間が10年以上と長いので、辞めるのも大変です。
大家さんが一括徴収している場合
最近はあまり多くないと思いますが、大家さんが電気料金を徴収している賃貸住宅もあるようです(古いアパートや下宿など) こうしたケースも、自分で電力会社を選ぶことはできません。
安い電力会社は?452社から比較しよう
電力会社によって、同じ使用状況でも電気代が年間で1万円以上変わってしまうことは珍しくありあません。当サイトでは452社・5562プランを簡単に比較できるので、お得な電気料金メニューが見つかります。
乗り換えを強要されるケースも
電力会社を自由に選べるようになったと思ったら、大家や管理会社から電力会社の切り替えを強要されるケースが多発しています。以下の記事にその対応策をまとめたので、お困りの方はこちらを御覧ください。
大家/管理会社から電力会社の切り替えを要求・強制された場合の対処法経産省の回答などを元に、対応策を指南します |
大家さん・管理会社さんへ
宅建業法により、所有・管理する物件の「飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況」を把握し、重要事項説明書などに盛り込む必要があります。電力自由化で入居者が電力会社を乗り換えることで、把握が難しくなるという問題が生じます。
この件に関して、経済産業省では以下のように回答しています。
ここで説明が求められる事項は、電気・ガスの供給施設の整備状況の有無であり、個々の不動産に係る電気・ガスの契約先の説明は必ずしも求められません。今般の電気事業法改正により一般家庭でも小売電気事業者を選択することができることとなりましたが、宅建業法上の重要事項として説明すべき内容に影響はありません。
引用元:よくある御質問とそれに対する考え方について(経済産業省)
つまり、入居者がそれぞれ電力会社を乗り換えたとしても、それを一軒一軒把握しておく必要は無い、ということです。