熊本電力とフラワーペイメントの事業移転トラブル

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熊本電力とフラワーペイメントのトラブル


 熊本電力をめぐって、2021年2月にあるトラブルが明るみとなりました。同社の電力を契約している私が、受信したメールなどをもとに時系列で問題を整理します。


目次


時系列で各社の対応を整理


 受信したメールや、各社のプレスリリースを整理して紹介します。


2021年2月2・3日 フラワー社からメールが送信


 問題の引き金となったのが、2021年2月3日12時06分に受信した以下のメールです。


熊本電力とフラワーペイメントの争い


 フラワーペイメント社の名前で、熊本電力の契約を2月2日付けで同社に対し「移転した」と記されています。続いて2月3日夕方ごろ、ほぼ同じ内容のプレスリリースがフラワー社のウェブサイトにも掲載されました。


 なお、本メールの送信元のアドレスは「熊本電力」が使用しているkumamoto-energy.co.jpではなく、kumamoto-e.co.jpという「よく似た」ドメインです。このドメインは2月2日に登録されたものです。


2月3日 熊本電力側から否定のアナウンス


 2月3日、熊本市の熊本電力側からフラワー社が送付したメールの内容を否定するプレスリリースが出されました。まずウェブサイトに掲載され、その後2月3日17時11分にメールでも受信しています。以下、メール本文です。


熊本電力とフラワーペイメントの争い2


 メールのタイトルは「【熊本電力】当社に関する迷惑メールにつきまして」でした。


2月4日未明 フラワー社から「捕捉説明」が発信


 2月4日深夜3時32分にフラワー社側から以下のメールを受信しました。


熊本電力とフラワーペイメントの争い2


 フラワー社子会社の「オンブレエナジー」の社名を「熊本電力」に変更する手続きを行っていること、また新たな供給約款重要事項説明書を案内する内容です(ちなみに、約款のPDFの「更新日」は同日深夜2時17分)


 なお、同じ内容のプレスリリースがフラワー社のウェブサイトにも掲載されています。


2月4日午前 熊本電力側から決済情報等について説明


 2月4日10時58分に、熊本電力側からフラワーペイメント社と熊本電力との関係性と、クレジットカード情報など支払情報の扱いについての説明がありました。


熊本電力とフラワーペイメントの争い3


 要約すると、フラワー社は熊本電力に電力の卸供給を行っていたこと、フラワー社に熊本電力契約者のメールアドレスが渡ったことは約款に基づく対応であるが利用目的の範囲外である点、またクレジットカードや口座情報などの支払情報は熊本電力側では保有していないことが主張されています。


2月5日夜 熊本電力側から説明


熊本電力とフラワーペイメントの争い4


 2月5日22時27分に熊本電力から受信しました。今回の件について、経緯を説明する準備をしている旨などが記載されています。


2月7日 熊本電力側から経緯と現状の説明


平素よりお世話になっております。
熊本電力でございます。

今回の件では、お客様に多大なご迷惑、ご心配、ご不安をおかけしてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。
本日までに判明しております事象について、ご報告及びご協力のお願いを申し上げます。
本メールは大事な内容となっておりますので最後までお読みいただきますようお願い申し上げます。

弊社の業務委託先であるフラワーペイメント株式会社(以下、同社)が、2021年2月2日に業務上知り得た情報を使い、広域的運営推進機関※1のスイッチング支援システム※2へ違法にログインし、弊社のスイッチング支援システムIDを全て削除した上、管理者IDを同社に変更しておりました。
広域的運営推進機関に対応していただき翌3日には弊社がログインできるようになりましたが、弊社のお客様の契約をスイッチング※3し、お客様の同意を一切得る事なく同社へ移転させてしまっていることを確認いたしました。

このような行為は、電子計算機損壊等業務妨害罪および電気事業法違反であると考えますが、同社より既にスイッチングされ手続きが完了してしまっていることは事実であり、弊社の不徳の致すところであります。
多大なご迷惑をおかけしてしまいました事、深くお詫び申し上げます。

地位の移転があったという点は弊社としては認めておらず、同社は上記のような不正な方法でお客様の同意のないままスイッチング行為を行っており、弊社は、違法なスイッチングの取り消しを行うよう各エリアの一般送配電事業者※4へ申告いたしました。
これにより、既に一部のエリアにおいては、取消が完了いたしましたが、取消に応じてもらえず、取消出来ないエリアも存在いたします。

そのため、弊社といたしましては、お客様の意思表示を持ちまして改めて一般送配電事業者へ取消依頼を行いたいと存じます。
つきましてはお客様マイページ内に設置しました、お客様意思表示フォームより全てのお客様を対象に地位の移転の承諾・不承諾の回答をいただきたくお願い申し上げます。
https://kumamoto-energy.co.jp/mypage/ 地位の移転の不承諾の意思表示をしていただけますと現行契約がそのまま存在します。
承諾される及び2月10日12時までに意思表示ができなかった場合は、地位の移転に承諾されたものとなります。但し、後日裁判等の判決で熊本電力に戻る可能性もございます。

承諾しない→現行契約がそのまま継続(弊社との契約)
承諾する→地位の移転となり契約先が変更(同社への変更)
2月10日12時までに回答ができなかった場合→地位の移転に承諾(同社への変更)

不承諾の意思表示をして頂くことで、お客様と弊社との契約は保持され、弊社は、これまで通り、地域最安値かつCO2ゼロの電力供給を行うことが可能となります。
このことより地位の移転を「承諾しない」をご選択いただき送信していただきたく存じます。

重ね重ね大変ご迷惑、ご心配おかけしてしまい申し訳ありませんが、何卒ご協力よろしくお願いいたします。

引用元:2月7日16時44分受信のメール

 2月7日16時44分に受信しました。


2月8日 フラワー社から経緯の説明


 2月8日23時08分にメールにてフラワー社側から今回の経緯について詳細な説明がありました。内容がかなり長いため、フラワー社公式サイトを参照してください。


2月10日 熊本電力からフラワー社への反論


 2月8日にフラワー社側から出された「補足説明A」に対する「回答」として、2月10日に熊本電力がマイページ内に文章を掲載しました(メール配信、ならびに公開の場所への掲載は無し)


 掲載された文章はこちら(長いため3分割にしてあります PC向けのサイズでキャプチャしています)


 フラワー社の通知に対する回答について1
 フラワー社の通知に対する回答について2
 フラワー社の通知に対する回答について3


2月12日 一部契約者の契約がフラワー社に移行


 2月2・3日に発せられた第一報のメールで予告されていたとおり、一部契約者への供給が熊本電力からフラワーペイメント社側へと移行しました。


 2月13日12時にフラワー社に電話で問い合わせたところ、地位移転に「承諾しない」旨を通知した一部の契約者もフラワー社に切り替わってしまった可能性があるとの話でした(2月10日までに連絡があったものは対応したが、期限最終日である11日に受けたものは処理していないとの説明)


2月12日 フラワー社側から個人情報の取り扱いについての発表


 フラワーペイメント公式サイト上にて発表されました。


平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼を申し上げます。
フラワーペイメント株式会社(以下、「当社」といいます。)および当社子会社は、当社卸決済サービス等、当社および当社子会社がサービスを提供する上で、法令等の定めがある場合を除き、取引先の電気需給契約を通じて電気の供給を受ける電気の使用者(以下、「需要家」といいます。)の個人情報を保有することはなく、法令等の定めがある場合に保有をする際も適切な管理を行っております。

当社は、2021年1月28日、旧熊本電力(本店所在地:熊本県熊本市中央区:法人番号:330001020405)の代表取締役 竹元一真氏(以下、「竹元氏」といいます。)からの申し入れにより、地位移転(旧熊本電力と需要家との電気需給契約における契約上の地位を移転すること)を受け入れました。

そして当社は、同日(1月28日)、旧熊本電力より、当該地位移転手続きに必要な需要家情報(以下、「個人情報」といいます。)の提供を受けましたが、この際、提供を受けた当該個人情報の中には、旧熊本電力の需要家の電気料金の支払に使用されている口座情報やクレジットカード情報等の決済情報は一切含まれておりません。

旧熊本電力より、当社および当社子会社である熊本電力株式会社(旧商号:オンブレナジー株式会社 本店所在地:東京都千代田区丸の内、法人番号010401133430、以下「新熊本電力」といいます。)に対し、提供された個人情報は、地位移転の関連手続き及びその後のサービス提供を履行するために提供されたものであり、当社及び新熊本電力は、これらの目的以外に個人情報を使用することはなく、また、適切に管理をしております。

お取引先様並びに需要家には、ご理解協力の程、何卒よろしくお願いいたします。

引用元:地位移転に関する個人情報の取得経緯及び取り扱いについてのお知らせ(フラワーペイメント)

2月12日 フラワー社側から今後の電気料金支払いについての案内


 フラワーペイメント公式サイト上にて発表されました。内容は同社の公式サイトで確認できます。


 2月12日のスイッチング手続き完了後の電気料金支払いについて、地位移転に承諾した契約者のみフラワーペイメント側から今後請求が行われる(承諾していない契約者は熊本電力から請求される)点と、フラワーペイメントからは当面のあいだコンビニ払い等での請求を予定していることが発表されました。


2月13日? 新熊本電力の公式サイトが公開


 私が確認した時点で14日の0時過ぎであったためおそらく13日時点で公開されていたのではないかと思いますが、フラワーペイメント側の「新熊本電力」の公式サイトが公開されました。


 料金表や約款、これまでのプレスリリースなどが掲載されています。


 URL:kumamoto-e.co.jp


2月14日 熊本電力マイページに新機能が追加


 熊本電力のマイページに、現在の契約状況を確認できる機能が追加されました。


熊本電力マイページの地位移転状況を確認機能

状況を確認することが出来る

 私の場合、SW状況(スイッチング状況)は「他社」となっており、フラワーペイメント側の12日時点の説明どおり、不承諾を双方に対し伝えたにも関わらずフラワー社にスイッチング(切り替え)が行われてしまっているようです。


2月18日 熊本電力側からよくある問い合わせへの回答


 「今回の騒動に関して多数いただいているお問合せにつきまして」というタイトルで、熊本電力マイページに以下の内容が掲載されました。


平素よりお世話になっております。 熊本電力でございます。

様々な比較、検討を行い弊社を信頼しご選択いただいた皆様に対して、 今回の事態を起こしてしまい、多大なるご迷惑をおかけしておりますこと、改めて深くお詫び申し上げます。
お電話等で多数お問い合わせいただいておりますが、電話は大変混みあっておりまして繋がりにくい状況となっており大変ご迷惑をおかけしております。皆様より多数いただいているお問合せに対して回答を記載いたします。

■「電気が止まることはないか?」→「電力の供給が止まる事はございません。」
・電力供給においては、小売電気事業者が販売する量に応じた電力を調達できていない場合であっても、系統全体で一般送配電事業者が需給バランスを維持する(一般送配電事業者がその不足分の補給を行う)ため、十分な電力を調達できていないことをもって消費者に対する供給が停止されることはありません。※1

■「現在自分が契約中の電力会社はどこか?」→「弊社マイページでご確認が可能です。」
・弊社マイページ上で30分単位の電気のご使用量が表示されている方は熊本電力との契約が継続となっております。もし熊本電力と契約を継続することをご希望にもかかわらず、弊社マイページ上で30分単位の電気のご使用量表示されていない方は、お手数ではございますが、弊社マイページ上の地位移転の意思表示を「不承諾」もしくは「フラワーペイメント社へ熊本電力に戻りたい旨のご連絡」をお願いいたします。

■「不承諾の意思表示をしているのにフラワーペイメント社に切り替わっている。」
・熊本電力に戻るよう、フラワーペイメント社と共同で協議及び作業を行っております。ご不安、ご不便をおかけししておりますこと、改めてお詫び申し上げます。

■「フラワーペイメント社との契約となった場合の契約方法や支払い方法はどうなるのか」
・契約内容はこれまで同様となります。支払い方法はコンビニ払いを予定しております。

詳しくはフラワーペイメント社のウェブサイトをご確認ください。
https://flower-payment.co.jp/news/%e5%9c%b0%e4%bd%8d%e7%a7%bb%e8%bb%a2%e5%be%8c%e3%81%ae%e9%9b%bb%e6%b0%97%e6%96%99%e9%87%91%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b
フラワーペイメント社とご契約希望の方は、弊社マイページにて「承諾」いただきますとフラワーペイメント社へご契約が切り替わります。
現在、お問い合わせ窓口(電話、メール)が大変混雑し、つながりにくい状況となっております。

メールでのお問い合わせも多く頂戴しており、返信に時間を要しております。
お客さまにはご不便、ご迷惑をおかけしておりますことを重ねて深くお詫び申し上げます。

※1 経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス取引監視等委員会
小売全面自由化に関するQ&A(消費者向け)
電力の供給に関することは問22及び問30をご確認ください。
https://www.emsc.meti.go.jp/info/faq/pdf/20160906001.pdf

引用元:今回の騒動に関して多数いただいているお問合せにつきまして(熊本電力マイページ)

 ログインが必要なエリアに掲載されており、契約者に向けて発信されたものです。


3月3日 熊本電力からの供給に戻った


 私は2月12日にフラワーペイメントによって意思に反してスイッチングが行われましたが、それから19日後の3月3日に熊本電力からの供給に戻ったようです(東京電力エリアです)


 熊本電力マイページの「電力使用状況」のグラフが3月3日から以前と同じようにデータが反映され、またマイページで提供されている「地位移転の状況につきまして」というページの記載内容も以下のようになりました。


熊本電力マイページ「地位移転の状況につきまして」

熊本電力マイページ「地位移転の状況につきまして」

 契約者によって「戻った」タイミングは異なるようで、2月中に戻ることが出来たというご意見もいくつか頂戴しています。少しずつ作業が進められているものとみられます。


3月25日 熊本電力から口座振込みの依頼


 しばらく動きが無い状況が続いていましたが、3月25日22時02分に以下のメールが熊本電力より届きました。タイトルは「【熊本電力】ご請求金額確定とお振込みのお願い」です。


平素より大変お世話になっております。熊本電力でございます。

今回の問題に関しまして先日より多大なるご心配、ご迷惑をおかけしております事、誠に申し訳ございません。
また、ご連絡が遅くなってしまいました事、あわせて深くお詫び申し上げます。
早速ですが、お客様の3月分の電気料金のご請求につきましてお願い申し上げます。
この度の件、係争中の為、従来使用しておりました収納代行会社との取引に支障があり、電気料金のご請求がお客様本来の決済方法では決済ができなくなっております。
つきましては、早急に収納代行会社変更の手続きを行っております。お客様には大変お手数おかけしますが、収納代行会社変更期間中は下記口座へ電気料金のお振込みをお願い申し上げます。

別途郵送にて同様のご案内をお送りいたしますので、ご確認いただき大変恐縮ではございますが、4月2日までにお支払いいただきますようお願い申し上げます。
一時的に移行期間があるお客様におかれましては、現在移行期間中の電力使用量が分かりかねますため、次月以降に移行期間中の電力使用量を合算しましたものを請求いたします。
お振込手数料につきましてはお客様には大変申し訳ございませんが、ご負担いただき、次月分の電気料金から各ご契約より500円お値引きさせていただきます。 ご繁忙の中まことに恐縮ではございますが、宜しくお願い申し上げます。

引用元:【熊本電力】ご請求金額確定とお振込みのお願い(熊本電力)

 メールの後半にはお客様番号、利用期間、請求額と熊本電力の銀行口座が記載されていました。


 収納代行会社との取引に支障があり、これまでの決済方法を利用出来なくなったため「4月2日」までに料金を振り込んでほしい、という内容です。次月の料金から500円を値引くそうです。


 なお、私は3月26日に振り込みを行ったところ、30日にマイページ上で確認できる「2021年03月分  電気ご使用量のお知らせ」に「領収書」と反映されました。


支払う前は「兼 領収書」の文字が無かった

4月5日 熊本電力から料金支払い方法について案内


 4月5日22時38分に、熊本電力より以下のメールを受信しました。


平素より大変お世話になっております。熊本電力でございます。

今回の問題に関しまして先日より大変長らくご迷惑をおかけしております事、誠に申し訳ございません。
早速ですが、お客様のお支払方法についてご連絡いたします。

この度の件、係争中の為、従来使用しておりました収納代行会社との取引に支障があり、2021年3月より電気料金のご請求をお客様本来の決済方法ではなくお振り込みの依頼をさせていただいております。
現在の状況としましては、新しく収納代行会社との契約を急ぎ進めておりますが、契約締結後、システム構築、本来の決済ができるまで約1ヶ月を要する予定です。
5月の電気料金のお支払いよりお客様本来の決済方法で決済ができるよう、準備を進めている段階でございます。4月からの決済を予定して進めておりましたが、間に合わない状況となっておりますことお詫び申し上げます。
つきましては、お客様には大変ご迷惑とお手数おかけしますが、3月同様にお振り込みのお手続きで、電気料金のお支払いをご依頼する形となりますこと、ご理解いただき、ご対応いただけると幸いです。

お客様の電気料金のお知らせにつきましては後日改めてご連絡差し上げます。
この度は、多大なるご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。

現在お電話が繋がりにくい状況が続いておりますため、本件に関するお問い合わせはメールにて受付いたします。
ご不便おかけし申し訳ございませんが、下記メールアドレスまでお願いいたします。

引用元:4月5日22時38分 熊本電力より受信したメール

 4月分の支払いについても、先月と同様に銀行振込での支払いが必要とのことです。


4月13日 経産省から熊本電力についてリリース


 4月13日付けで、熊本電力について経産省が以下の事実を公表しました。


電気事業者名:熊本電力株式会社(A0320)
納付金の状況:令和3年3月31日(水曜日)を納付期限とした納付金について同日までに納付がなく、督促状により令和3年4月12日(月曜日)を期限に督促したが同日までに納付していない。

引用元:再生可能エネルギー特別措置法に基づき、納付金を納付しない電気事業者を公表します(経済産業省)

 3月31日に支払い期限を迎えた「再エネ賦課金」の納付が無く、また4月12日を期限に督促したが納付が無かったとのことです。


4月28日 熊本電力関連会社が破産手続開始決定


 5月7日に出た報道によれば、熊本電力の関連会社であるTakeEnergyCorporation株式会社(熊本県菊陽町)が4月28日に熊本地裁より破産手続き開始決定を受けました。


 太陽光の分譲事業の失敗による負債などで経営が行き詰まったと指摘されています。


 なお、同社は「熊本電力」の商標権を保有しているものとみられます(特許情報プラットフォームにて検索、2021年5月7日時点)


5月11日 経産省から熊本電力についてリリース2


 経産省が再エネ賦課金の納付が無い事業者として、熊本電力の社名を公表しました。4月13日に続き2ヶ月連続、2度目の公表です(リンク:経産省:再生可能エネルギー特別措置法に基づき、納付金を納付しない電気事業者を公表します


5月26日 「経営陣刷新のご報告」が熊本電力より送信


 熊本電力より契約者に対し「【重要】経営陣刷新のご報告」というタイトルのメールが5月26日に送信されました(13時56分受信)


 受信したメール本文と同じ内容が熊本電力公式サイト「【重要】経営陣刷新のご報告」に掲載されています。


 内容を要約すると



 また、同日16時52分に4月分の請求が届きました。これまでは遅くとも毎月22日までに請求が届いていたので、26日というのは私が利用している2019年4月以降では最も遅い日取りでした。


 前月までと同様に銀行振込での支払いで500円の割引が適用、振り込み期限は6月2日とされています。熊本電力との関連性が不透明な社名が振り込み先口座名義人(前月とも異なる)として記載されていますが、その点について説明はありません。


5月27日 「熊本電力」商標権の権利者変更を確認


 この記事を更新するにあたって、最新情報を確認しておこうと「特許情報プラットフォーム」を検索したところ、「熊本電力」関連の商標権の権利者がこれまでのTakeEnergyCorporation株式会社から、フラワーペイメント株式会社に変更されていることが分かりました。


 同サイトによれば、2021年3月31日に「本権移転登録申請書(譲渡)」が登記情報として記載されており、その時点で何らかの動きがあったものとみられます。


7月28日 裁判所による仮処分決定の見込みが示される


 7月28日に熊本電力より届いた料金請求メールの中で、熊本電力は


フラワーペイメント社との係争について
まもなく仮処分の決定が裁判所より下される予定です。
詳細については決定文が出され次第ご報告差し上げます。

引用元:2021年7月28日受信のメール(熊本電力)

8月26日 仮処分の決定が下されたとのメールを受信


▼フラワーペイメント社との係争について
仮処分の決定が裁判所より下され、弊社の主張が仮に認められました。
詳細については、近くご報告差し上げます。

引用元:2021年8月26日受信のメール(熊本電力)

 8月分の料金請求メールの中で、熊本電力はフラワーペイメント社との係争について、上記の説明を行いました。フラワーペイメント側は公式サイト上などでの反応は無く、詳細や真偽は不明です。


9月30日 「仮処分命令決定のお知らせ」が掲載される


 9月30日、熊本電力(熊本市)の公式サイト上に「仮処分命令決定のお知らせ」が掲載されました。


 掲載された内容によれば、東京地裁が7月15日付けで熊本電力(熊本市)側の主張を仮に認める決定を出したとしています。


2022年3月17日 送電会社が送電停止を通知


 17日の15時ごろ、東京電力パワーグリッドより連絡がありました。以下概要です。



 新電力は送電会社(東京電力パワーグリッドなど)に託送料金という料金を支払うことで、契約者に電気を届けてもらいます。熊本電力側の契約不履行によりその契約が消滅したことで、電気を届けることが出来なくなったことを意味します。


 新電力が倒産するなどして電気を供給出来なくなった場合、契約者が困ることが無いような仕組みがあります。3月22日以降はこの仕組みで「しばらく」電気の供給が続けられますが、それも4月22日で終了、すなわち停電するとの説明でした。


3月19日 他社への契約移行を提案


 3月19日に熊本電力より届いた書面によると、「現状を維持したサービス提供を継続的に続けることは不明瞭」であるため、シグナストラストが提供するエビス電力への「契約継承」を契約者に対し提案しています。


 エビス電力の「くま電プラン」の料金表が同封されていました。契約継承に承諾しない場合は21日までに専用のウェブフォームから回答するよう求めていますが、この書面を受け取った時点で残り時間は数日を切っており、また19〜21日は3連休であることから対応できないユーザーも一定数出てしまうのではないでしょうか。


2023年3月13日 熊本電力の破産手続き開始


 熊本電力について2023年3月13日午後4時、熊本地裁が破産手続きが開始しました。9月には債権者集会が行われるなど、会社を清算する方向で手続きが進んでいます。


 地元紙報道によれば2020年1月時点の負債総額は約2億5700万円となっています。




契約者は何をすべきか(2022年3月編)


 「熊本電力」契約者はどう対処すべきか、対応をまとめます。


送電停止の通知を受けたら速やかに他社へ切り替えを


 送電会社より送電停止の通知を受けた場合、速やかに熊本電力以外の小売電気事業者への切り替えが必要です。期限を迎えると停電します。東電エリアの場合、4月22日がタイムリミットです。


 新電力への切り替えは時間が掛かる(特に3月は繁忙期)ことがあるため、時間的余裕が無い場合は各地域の大手電力の標準メニューである「従量電灯」に一旦切り替えるのが安全です。私自身、一度東電に契約を戻した後に再び新電力に切り替える予定です。


熊本電力よりも安い電力会社は


 熊本電力は大手電力の標準メニュー(従量電灯)より1〜2割安い料金プランです。新電力の中でも最安水準であることがメリットの一つでした。


 当サイトの電気料金一括シミュレーションでは熊本電力の料金プランを2016年より掲載していましたが、2021年4月10日をもって掲載を終了しました。


 エビス電力の「くま電プラン」も掲載しています(3月19日16時追加)


契約者の立場から感じる「問題点」


 私が感じた問題点をまとめます。


フラワー社の期限設定には無理がある


 フラワーペイメント社は同社への地位移転に「同意しない場合」は、2月11日までにメールで必要事項を連絡することを2月3日に送付した最初のメールの中に記載しています。


 「新熊本電力」は約款と重要事項説明書を公表するだけで、2月6日午前の時点でも公式サイトを公開しておりません。また、私は疑問や不安に感じる点を2月4日9時58分に同社に対しメールで問い合わせを行っていますが、それに対する返答もまだありません。


 判断する情報が十分に与えられない中、一方的に短い期限を設定し行動を求めることは受け入れがたいです。「期限」は通知から少なくとも1ヶ月以上先に設定すべきでしょう。また、メールに気づいていない契約者もいないとは言えないため、郵送でも通知を行う必要があると思います。同社からのメールが「迷惑メールフォルダーに入っていた」ため気づくのが遅れてしまった、というご意見も頂いており、メールだけでの通知では契約者の目に留まらない可能性もあると危惧しています。


 過去の事例としては、2017年に事業から「撤退」しようとした大東エナジー(大東建託系)は契約者に対し郵送で他社への切り替えを依頼しました。手続きの期日は発送から3週間〜1ヶ月先に設定しましたが、大きな混乱が生じました。今回のメール通知から「わずか1週間後」という期限設定は適切なものとは言い難いです。


熊本電力の情報管理は適切だったのか


 私が疑問に感じるのは、なぜフラワーペイメント社が熊本電力契約者のメールアドレスを保有しているのか、という点です。


 熊本電力側からの説明の中で、フラワーペイメント社は同社に対し「電気の卸売りを行っていた事業者」であることが明かされています。卸供給を受ける事業者に対し、顧客のメールアドレスを提供する妥当性はあったのか、速やかに説明する必要があります。


 また、どのような個人情報をフラワーペイメントと「共有」していたのかも速やかに開示してほしいです。この点については熊本電力、フラワーペイメント双方に問い合わせを行いましたが、回答を得ることが出来ていません。


 更に、熊本電力側から2月7日に送信されたメールによれば、スイッチングシステムの管理者IDなどを変更されてしまったとの主張がありますが、そのような重要な権限をなぜ奪われてしまったのか、疑問と不安は深まるばかりです。フラワー社は2月8日発信のリリースの中で「旧熊本電力より当社に対し、オンラインデータ共有サービスを通じて当該手続きに必要な需要家情報が提供されました」と発表していますが、どのような形で提供されたのか契約者に対し納得のいく説明が必要です。


両社とも適切な顧客対応が出来ていない


 小売電気事業者(新電力)が守るべきルールとして「電力の小売営業に関する指針」というものがあります。そこにはこのように書かれています。


小売電気事業者は、小売供給の業務の方法又は小売供給に係る料金その他の供給条件についての需要家(小売供給を受けようとする者を含む。)からの苦情及び問合せについて、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない(電気事業法第2条の15)。小売電気事業者がこの苦情等の処理義務に違反することは問題となる。

引用元:電力の小売営業に関する指針(経済産業省)

 私は2月3日に熊本電力に対し、翌4日にフラワー社に対しメールで問い合わせを行いましたが、4月18日時点でいずれからの返信も受け取ることが出来ていません。


 また、適切な情報が提供されず不安や疑問が解消されないまま両社が一方的に設定した「回答期限」を迎えたことは誠に遺憾に思います。


不同意を伝えたにもかかわらず切り替えが行われた


 私は熊本電力、フラワーペイメント双方に対し、地位移転に「承諾しない」旨を両社が示した期限内に通知しました。ですが地位移転が行われるとされていた2月12日になり、熊本電力が提供するマイページに「電力使用状況」のデータが反映されなくなり、熊本電力からの供給が停止したのではないかと疑問を持ちました。


熊本電力の電力使用状況のグラフ

12日からデータが反映されていない(通常数時間遅れで反映)

 電力・ガス取引監視等委員会に状況を問い合わせたところ、まずはフラワー社に対し確認してほしいとのことだったので、2月12日12時頃に同社に対し電話で問い合わせを行いました(すぐに繋がった)


 その際の回答としては、「10日までに連絡があったものはスイッチングを止める手続きをしたが、11日に連絡があったものは対応できていない。切り替わってしまった可能性がある。」との回答でした。私がフラワー社に不同意を伝えたのは期限終了間近の11日夜であり、意思に反したスイッチングが行われた可能性がありますが「確認はできない」とも言われ現在どの電力会社から供給を受けているのか判明しませんでした。


 期限内に不同意を伝えたにも関わらず、需要家の意思に反してスイッチングが行われたことは問題があると思います。また、同社は「11日は業務を行っていなかった」とも電話口で答えており、ではなぜ11日を期限として示したのでしょうか(11日は建国記念の日で祝日)




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