蓄電池だけじゃない!電気を貯める方法の一覧

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蓄電池以外にもある「電気を貯める」方法


 電気を貯めるといえば蓄電池が真っ先に思い浮かびますが、実はそれ以外にも様々な方法があり、中には既に一般家庭に普及しているものもあります。それぞれのメリット・デメリットを交えながら、分かりやすく解説していきます。



蓄熱という「蓄電」の方法


 電気をそのまま蓄えるのではなく、熱エネルギーに変換した上で貯めることで、実質的に電気を蓄えるのと同じ効果があります。具体的な方法を紹介します。


エコキュート


 既に一般家庭に広く普及している給湯システムです。主に深夜に電気を使い熱湯をまとめて沸かし、大きなタンクに貯蔵する仕組みです。


 一度沸かしたお湯を電気に戻す機能はありませんが、電気を熱エネルギーに変換した上で「貯蔵」する点では、電気を貯めているのと同義と言えます。


エコキュート


蓄熱式空調システム


 一部のオフィスビルなどに導入が進んでいる空調システムです。東京スカイツリーにも導入されています。


 電気代が安い深夜に電気を使って水槽(スカイツリーでは水深15m、合計7000トン)に氷や冷水を作り、そのエネルギーを使って冷房を動かします。また、冬には温水を貯めて暖房に使用するものもあります。


 事務所建物の場合、昼間のピーク電力を約2割削減する効果があるとされています。また、貯めた水を災害発生時に消火活動に使用したり、生活用水として活用する取り組みもあります。



風力熱発電


 通常の風力発電であれば発電した電気をそのまま送電線に流すか、あるいは(非常に高価な)蓄電池に蓄えるという方法が一部で取られています。それに対し風力熱発電では、風車の中に装備した「発熱器」を使って電気ではなく熱をつくり、その熱を風力発電所内に設置した設備に「蓄熱」します。


 発電が必要になった時には、その熱を取り出して超高圧蒸気を発生させ、タービンで発電して電気をつくる仕組みです。


 一見すると複雑な仕組みに見えますが、電池と比べて蓄熱のコストは「20分の1」とされ、圧倒的にコストが安い仕組みです。また、使用する技術も既にある程度確立されたものを組み合わせることが出来るため、信頼性や技術的なハードルの面でもメリットがあります。


 風力発電や太陽光発電は発電量が安定しないというデメリットがしばしば指摘されていますが、こうした仕組みと組み合わせることで安定的な供給が可能となります。


太陽熱発電


太陽熱発電所(スペイン)

鏡などで光を集める太陽熱発電

 レンズや鏡に太陽光を反射させてその熱で水を蒸発し、蒸気タービンを回して発電する仕組みです。風力熱発電と同様に、発生した熱を蓄える仕組みと組み合わせることで実質的な「蓄電」が可能となります。蓄熱することで夜間の発電も可能です。


 ドバイやアブダビ、アメリカなど世界各地で稼働あるいは建設が進められており、既に実用化されていると言えます。
 ドバイ電力水道公社(日本のあしたでんきなどにも出資している公社)が建設を進める巨大発電所が稼働すれば、ドバイの夜間の電力需要を賄うことが出来るとされています。


太陽熱温水器

昔からある太陽熱温水器の進化版のようなもの

水素の活用も


 コスト面から実用化には至っていませんが、日本では「水素」を使った蓄電を国を上げて検討しています。福島県浪江町では2019年10月から、東北電力から送電される電気を使って水素を作る試験運転が行なわれています。今後、施設内の太陽光発電の電力で水を分解し、水素を製造する予定です(福島水素エネルギー研究フィールド)


 再生可能エネルギーの発電量が多いタイミングで再エネの電気を使って水素をつくって貯蔵し、電力が不足するタイミングで燃料電池などを用いて水素から再び電気に戻すことが出来ます。また、水素をそのまま燃料電池車や工場に供給することも可能です。


蓄電池の進化も見逃せない


 少なくとも2020年時点の日本では、蓄電池を使った「蓄電」は採算が取れません。だからこそ、蓄電池ではなくエコキュートや蓄熱式空調などの普及が進んでいるとも言えます。


 しかし、今後の技術の進歩によっては蓄電池のコストが劇的に下がることも予想されており、実現すれば上で紹介したような技術にとって脅威となる可能性もあります。




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