新電力が倒産する前に見せる兆候

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相次ぐ新電力の倒産、その前兆は?


 約4割の新電力が赤字と言われる中、既に倒産した新電力も相次いでいます。既に倒産していった新電力が倒産直前に見せた「兆候」をまとめます。



倒産直前によくある兆候


 これまでに倒産した新電力の中でもよく見られた「前兆」を紹介します。


再エネ賦課金の未納を公表される


 日本では電気を1kWh使うごとに、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を負担する必要があります。ユーザーが電力会社(新電力)に支払い、電力会社がそれを国に納付します。


 ですがユーザーから預かった再エネ賦課金を「滞納」したとして、経産省から社名を公表される新電力が時たま現れます。そうやって社名を公表された新電力の多くが、その後程なくして倒産に追い込まれています(あくび電気AGエナジーエレトスなど)


 再エネ賦課金の未納は、つまり支払われるべき費用が支払われていないことを意味します。資金繰りに追い込まれた状態となっていることが推察できます。


 なお、2020年3月11日に「未納」を公表されたAGエナジーに対し、未納に至った経緯についてメールで説明を求めたところ「経済産業省あてに早急に対応しており、今後もお客様への電力供給を変わりなく続けてまいります。 」との回答が3月13日にありましたが、同社は23日に新電力事業終了を表明、26日に破産手続開始決定を受け倒産しています。


送配電会社から解約予告される


 新電力ならびに大手電力会社の小売部門は「託送料金」を送配電会社に支払うことで、送配電会社が持つ電線を通して各家庭や店舗、事務所などに電気を販売しています。


送電線

電線が使えなければ事業継続は不可能

 ですが何らかの事情により、送配電会社側から「もう電気を届けませんよ」という意思表示が出される場合があります。それが「解約予告」です。特定の新電力を利用している人に対し、○月○日をもって送電を停止します、という内容の手紙が送付されます。過去にはあくび電気の契約者に対し、東京電力パワーグリッドからこうした通知が行われました。


 新電力は送配電会社に電気を届けてもらうことが出来なくなれば、新電力事業を営むことが出来ません。このような事態に陥ると事業が成立しなくなるため、倒産する可能性が高いと言えるでしょう。解約予告が発せられた時点で託送料金の滞納が生じている可能性も考えられます。


電気料金の計算ミスを起こす


 上2つと比べると「リスク」は低いものの、これまでに倒産した新電力の中には、倒産する直前の時期に電気料金の計算ミスや請求ミスを大規模に起こしていたところがあります(福島電力あくび電気AGエナジーなど)


 中には資金繰りのためにわざと過大請求したと疑われる事例もありますが、倒産する新電力は業務が崩壊している場合があり、そのことが誤請求に繋がるケースがあります。


 ただし、誤請求などは大手電力会社などでも起こることなので、必ずしも誤請求が直ちに倒産の兆候となるわけではありません。


コールセンターに電話が繋がらない


 「業務崩壊」と関連する現象ですが、倒産する直前の新電力は誤請求などのトラブルを抱えていることが多いため、コールセンターに電話を掛けても全く通じない状態となる場合が少なくありません。


 繁忙期(引っ越しが多い1〜3月)でもない平日の日中に電話が繋がらない状態が長く続いている場合は、要注意と言えます。倒産しないにしても、新電力事業を営むのに十分な能力を有しているとは言い難いです。


特徴的な兆候


 これまでに倒産した新電力に共通している兆候とは言えないものの、過去に見られた前兆を紹介します。


料金の「前払い」を要求する


 2020年2月に倒産したあくび電気は、倒産する直前の2019年12月に利用者に対し電気料金をまとめて数カ月分前払いするよう依頼していました。


 「依頼」とは名ばかりで、前払いを提案する書面には前払いを希望しない場合は連絡するように記載されており、半ば強引に前払いをさせるような手口でした。


 「前払い」を提案した時点で同社の資金繰りは行き詰まっていた可能性があり、資金調達のためにこのような方法が取られたとみられます。




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